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《ブラジル》ボルソナロ大統領が所得税の課税率改定を表明=細かい調整は経済省に一任=減税だが、財源確保が鍵

今年の所得税申告も、申告期限ギリギリの駆け込みが多かった(参考画像・Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

今年の所得税申告も、申告期限ギリギリの駆け込みが多かった(参考画像・Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 ラジオ・バンデイランテスのインタビューに出演したボルソナロ大統領は12日、2020年から、現行所得税のタベーラ(「月収~レアルまでの人は税率~%」などのように定めた課税率表)を改定するつもりだと語ったと、12、13日付現地紙・サイトが報じた。
 「所得税のタベーラをインフレ率に合わせて改定し、医療費や教育費の控除限度額も拡大するよう、ゲデス経済相に“要請”した。これらは命令ではないが、少なくともインフレ率に合わせたタベーラ改定は行われると思っている」と大統領は語った。
 現行の課税率は、月収1903・98レアル以下の労働者は所得税免除。月収1903・99~2826・65レアルなら7・5%が徴収される。収入が増すと税率が上がるが、最大税率は月収4664・68レアル以上の人々にかかる27・5%だ。
 現在のタベーラは、2015年のデータを基に作られた2016年版を継続して使っているが、「インフレに合わせて毎年タベーラを変えないと実質的な増税」になるため、ここ数年、国民から強い不満が出ていた。「インフレ連動型にする」というのは大統領の選挙公約でもあった。
 しかし、インフレ調整で所得税免除の上限が上がり、各課税率の対象となる金額も引き上げられると、所得税を払わなくてよい人が増え、同じ収入だが課税率が下がる人も出てくるため、税収減となり、財源をどう補填するかという問題が出てくる。
 政府には「今年のプライマリーバランスを赤字1390億レ以内に収める」という大命題があるため、減税分の財源確保は避けて通れない。経済省関係者の話では、大統領の要請は社会保障制度改革の進展とも合わせて検討されるという。ゲデス氏は社会保障制度改革の後に税制改革を狙っており、所得税の問題はその中に含まれる予定だ。
 ただし、1996年に出たタベーラが、23年間、インフレ率と同ペースで改定されていれば、今頃は月収3689・57レアル以下の人が所得税免除(ゼロ%)になっていければならないが、現在は、月収3600レアルなら所得税率は15%だ。
 国税庁職員組合(Sindifisco)は、「タベーラの調整自体は賛成だが、これまでの調整もインフレ率より低いペースで行われてきたので、実質的な影響は少ない」としている。
 タベーラが最後に改定された15年4月から今年4月までの丸4年間の累積インフレ率は23・53%だが、「タベーラはせいぜい4%程度の調整で終るのでは」と、同組合幹部のルイス・ベネジト氏は語っている。
 経済ジャーナリストのジェルソン・カマロッチ氏は大統領発言の翌日、「大統領の“要請”に従うと、500億レアル程度の減収になる。この穴を埋めるのは簡単ではない」との分析を現地サイトに掲載している。