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《サンパウロ市》薬物常用者対策条例を裁可=社会復帰を促す施策を実施

 サンパウロ市長ブルーノ・コーヴァス氏は20日、薬物常用者への医療ケア、一時的住まいの提供、市の清掃職員として雇用することなどを定めた市条例を裁可したと、21日付現地各紙が報じた。
 市役所は、1人最大2年間の期限付で、清掃員や庭師、建設作業員として雇い、週20時間の労働で月給698・46レアルを、就業支援金の名目で300人に支給する。参加者は就業訓練も受けることができる。
 類似の施策はフェルナンド・ハダジ元市長時に採用されていたが、コーヴァス市長は、「以前は就労を薬物依存患者の治療手段と位置づけていたが、今回は、依存患者の社会復帰を促進する手段とみている」と語った。
 市の経済発展労働局長アリーネ・カルドーゾ氏は、「前の施策では、必ずしも働く意思のない人も組み込まれていて、仕事を与えられても来ない人も出たが、今回の施策ではやる気のある人だけが対象になる」と説明している。
 以前は、薬物依存がなおりきっていない人に職だけ与えたため、得たお金で薬物をまた買ってしまうという悪循環が起きていた。コーヴァス市政ではそれを防ぐため、依存治療もほぼ最終段階にあり、プログラムを通じて社会復帰する意思のある人だけを対象とする。
 コーヴァス市長は「薬物依存症の問題を慢性的な公共医療の問題と捉えるならば、問題は一朝一夕には解決しないことを認識し、中長期的視野に立った施策を行うことが必要」と語っている。