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ベネズエラ=マドゥーロが議会選前倒し要求=「真の立法機関を決めたい」=グアイドは激しく批判

マドゥーロ大統領(Miguel Gutierres/Agencia Luza)

マドゥーロ大統領(Miguel Gutierres/Agencia Luza)

 ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領が20日、2020年に予定されている国民議会選挙を前倒しして行いたいとの意向を口にし、フアン・グアイド議長がそれを批判する展開となっている。21日付ブラジル国内紙が報じている。
 議会選挙の前倒し発言は、マドゥーロ氏の大統領再選から1年を祝うイベントの中でなされた。マドゥーロ政権の公式ツイッターには、(5年間も行われていない)「選挙を行い、唯一の合法的な立法機関を立ち挙げよう」「次の国民議会の選挙を早め、(体制派と反体制派の)どちらがより多くの国民の支持を受けているかを明らかにしよう。誰が勝つかな。それはキリスト教の信者で革命を望むチャビスタだ」と綴られていた。
 ベネズエラで2015年に行われた前回の国民議会選挙では、野党連合が改憲可能な数に迫る議席の3分の2近くを獲得し、与党の統一社会党は惨敗した。
 だが、2年後の2017年、マドゥーロ大統領は国民議会を骨抜きにすべく、「憲法制定議会」の設立を強行に押し進めた。マドゥーロ氏は自身の身内や連邦政府の前閣僚などを候補者に立てたが、野党側がボイコットした状態のままで選挙を強行。野党側候補が実質ゼロの状態で同議会の議員が選ばれた。政府側は「国民の40%が投票した」と主張するが、野党側は「20%もいなかった」と反論している。
 これに対し、グアイド議長は21日、マドゥーロ大統領を強く批判。選挙前倒しの提案についても、「2018年の大統領選のときも同じような提案をして大統領選を私物化した。全くどうかしている」と酷評した。
 2018年の大統領選は8カ月も前倒しされた上、野党側の有力な政治家の多くは政治犯扱いで投獄された状態のままで行われた。この選挙からは大統領の任期も5年から6年に延長されたが、野党側がこれらに反対して候補者を立てなかったことや、体制派による野党候補攻撃などもあって、マドゥーロ氏が再選された。
 今回、マドゥーロ大統領がこうした提案を行った裏では、スペインの元ベネズエラ大使関係者が4人逮捕されるスキャンダルも起こっている。これは同国最大の企業である石油公社PDVSAの公金が450万ユーロ横流しされた事件で、すでにスペインやポルトガル、米国などが捜査に動き、国際的な事件へと発展しつつある。
 また、マドゥーロ大統領は21日、15日にノルウェーの仲介で始まった体制派と反体制派の対話に関し、ノルウェーの姿勢を誉め、対話を続ける姿勢を見せた。その一方、「平和的な解決を望んでいるが、国の尊厳を守るために必要だと判断したら、軍や民兵を動員できるよう、準備をしている」とも語った。