ブラジル中銀が一昨年、ロタチーボ払い(リボ払い)の仕組みを変更したにも関わらず、債務不履行に陥る国民は減っていない現状を、27日付現地紙が報じた。
ロタチーボ払いとは、クレジットカードで買い物をした時に、最低支払い額とそれを払った場合の残額は(利息付で)分割払いできることを明示して、「高額の買い物をしても最低額さえ払えばカードの継続使用は可能」と約束して消費者を勧誘する仕組みだ。
この仕組みは、残高分の返済が終わるまで、通常の融資などより高い利子や手数料がかかり、債務不履行者を生み出す元凶とされていた。ロタチーボの利率は最大で年利500%超だったが、現在は300%程度だ。
中銀は、毎月複利でかかっていたロタチーボ払いの利子がかかる期間を原則1カ月とし、その時点で債務が残っていたら低利の融資方式に切り替えさせるようにした。
中銀は、債務不履行者を減少させることと、貸し倒れが減ることで、金融機関に低利の融資を促すことを狙っていた。
それでも、ロタチーボに回る借金総額も、ロタチーボのせいで債務不履行に陥る利用者の比率も大きく変わっていない。最低金額さえ払えず、即座に債務不履行になる金額にも変化はない。
イタウ銀行のクレジットカード部門ディレクター、マルセロ・コペル氏は、「ロタチーボによる債務不履行者が余り減らないこと自体は大きな問題ではない。むしろ、ロタチーボの危険性を利用者に伝える機会だと捉えている」と語った。
ただし、「最低これだけを払えば、債務不履行とはみなさない」との約束につられてロタチーボを選んでしまう消費者はいまだに少なくない。クレジットカード利用者で債務不履行に陥る人は35%もおり、ロタチーボより利率が高くなった特別小切手を使って不履行に陥った人の比率(13%)を上回っている。
ブラジル・クレジット協会(Abecs)会長のリカルド・ヴィエイラ氏は、「中銀の施策は債務不履行を減らすためのものではなく、債務不履行が減ればロタチーボの金利が下がるとの見通しで導入された」と評価している。事実、ロタチーボから利率の低い通常の分割払いに借金の形態を移す人が倍増し、ロタチーボの利息は低下した。ロタチーボから移る分割払いの利率は上がっているし、一般融資より利率は高い。
今年第1四半期、国内で株式公開を行っている4大銀行(イタウ、ブラジル銀行、ブラデスコ、サンタンデール)はいずれも、クレジットカードによる融資が拡大した。
サンパウロ州Ibmec大学金融部門教授のウェリントン・ロペス・デ・ソウザ氏は、「クレジットカードは高額商品購入時にだけ使われるとの認識は正しくない。今やクレジットカードによる買い物の8~9割は、日用品の購入だ」と語っている。