ブラジル株式市場の総合指数であるサンパウロ市株式市場指数(Ibovespa)は5月に値下がりすることが多く、「魔の5月」などと市場関係者からは言われていたが、今年5月はそのジンクスを10年ぶりに破った。
4月30日に9万6353ポイントだった指数が、5月31日は9万7030ポイントと、0・7%アップで終わったのだ。5月末のIbovespa指数が4月末の水準を上回ったのは、2009年以来のことだ。
だが、5月17日には8万9993ポイント(7%ダウン)まで落ちており、今年も魔の5月が続く可能性は十分にあった。月の半ばにかけて大きく下がり、月末に値を戻した原因は、社会保障制度改革成立への期待値が上下したことが原因だ。
国際事情を見ると、米中貿易戦争の激化した5月は、ブラジル経済にも追い風が吹いたとは言いがたい。
株式や国債などの取引を仲介する、Necton社の主席アナリストグラウコ・レガ氏は、「5月は長く感じられた。一言で5月の傾向は表現できない位、株価にとってのポジティブ要素やネガティブ要素が頻繁に入れ替わった。国際情勢はもちろん、反政府デモや政権擁護デモも起き、議会の空気も頻繁に変わったが、今は社会保障改革への勢いが出ていると、市場も見ている」と語る。
5月13日にはボルソナロ大統領の長男、フラヴィオ・ボルソナロ上議への幽霊職員問題の捜査が始まり、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)へ民間航空会社から贈賄が行われたとの供述も明るみになった。
翌14日からは株価が大きく下がり、週末の17日には、株価が9万ポイントラインを割り込んだ上、為替も1ドル=4・1レと、大幅なレアル安を記録した。
その後、議会との関係悪化に苦しむ政府を援護するかのように、政権擁護デモが起き、株価が戻り始めた。27日に大統領、議長、最高長官らの間でいわゆる三権会談が行われてからは、「政府と議会の関係が戻った。社会保障改革の先行きは明るい」との期待感で株も上昇した。(3日付フォーリャ紙より)