最新の世論調査で、ブラジル人の6割近くがブラジルでの民主主義のあり方に不満を感じており、4割近くは「大統領が最高裁を閉鎖してもよい」と思っているとの結果が出たという。4日付フォーリャ紙が報じている。
このデータは「アメリカ・バロメーター(LAPOP)」という調査によるもので、同調査は米州諸国全体で行われている。ブラジルでの調査はジェツリオ・ヴァルガス財団が共催、イボッピ(世論調査・統計機関)の調査員が1498人にアンケートを行った。
それによると、自分の政治信条を「右派」と称する人が39%で、「左派」の28%を大きく上回ったという。右派を自称する人の割合は2006年の調査開始以来、最高だ。右派が左派を上回ったのは、2012年以降、初めてだ。
また、回答者の35%が「政治が腐敗し、汚職が横行したら、軍事クーデターは正当化されるべき」と答えた。内訳を見ると、左派と称する人の中では31%、右派と称する人の中では43%だった。
さらに、「国が苦境に直面するなら、大統領が最高裁を閉鎖してもよい」と考えている人は38%に上っていた。
その内訳を見ると、右派は52%と圧倒的で、左派は35%、中道その他は25%だった。
国民の「民主主義」に対する考え方だが、「民主主義こそが社会にとって最良の政治」だと思っている人は60%だった。これは2006年の初回調査時の73%に比べるとだいぶ少ないが、ジウマ大統領罷免後にテメル政権の不人気で混乱した2017年に52%を記録したときよりはだいぶ持ち直している。
だが、「現状の民主主義のあり方に不満だ」と答えた人も、17年当時より減ったとはいえ、58%と高い。
また、数年前から50%を割り込み、17年には41%まで落ち込んでいた「政治制度は尊重するべき」は、51%に戻った。だが、この数字は今回調査を行った米州の13カ国中、9番目の高さだという。最も信頼できる機関は、「軍隊」が70%で高く、「最高裁」が45%、「議会」が31%だった。
また、「議会が閉鎖されてもいい」と考える人は22%でさほど高くないものの、「半数以上の政治家が汚職に手を染めている」と考えている人は79%で、13カ国中3番目に多かった。公務員の間でも汚職が横行していると考える人は62%いた。
なお、この調査は今年の1月から3月に行われており、昨年10月に行われた選挙の余韻が残っている可能性がある。