応用経済調査院(IPEA)とブラジル治安フォーラムが5日、17年の殺人事件の犠牲者は6万5602人、人口10万人あたり31・6人で、史上最悪の記録となったと発表したと5日付現地紙サイトが報じた。
この数字は保健省の統計資料を基に集計されており、13年~17年の死者は、15年に減少した以外は右肩上がりだ。
殺人事件の犠牲者増加が目立つのは北部と北東部で、10万人あたりの死者が50人を超えた州は、リオ・グランデ・ド・ノルテ、アクレ、セアラー、セルジッペ、ペルナンブコ、パラー、アラゴアスの7州、40人~50人の州はバイア、アマパー、ロライマ、ゴイアス、アマゾナスの4州。北東部の死者は10万人あたり48人、北部は同47人に達した。
死者数が前年比で1割以上増えた州は7州あるが、サンパウロ州は10万人あたり10・3人など、死者が減った州もあった。
北部や北東部での死亡率上昇は、サンパウロ州の州都第一コマンド(PCC)やリオ州のコマンド・ヴェルメーリョ(CV)、両者と提携あるいは独自の覇権を目指す各地の犯罪組織の抗争増加が影響したと見られている。
年代別の犠牲者最多は15~29歳で、3万5783人が死亡。同年齢の死者は10万人あたり130・4人で、過去10年間で最大だ。死者の94・4%は男性だった。全国平均を上回った州は、リオ・グランデ・ド・ノルテの281・9人など、15州に上る。特に、15~19歳では同年齢の死者の51・8%(3万5783人)が殺人事件の犠牲者だった。
女性の死者は4936人(10万人あたり4・7人)で、黒人(黒人+褐色)女性の死亡率は07年比29・9%上昇。非黒人女性の死亡率は1・6%の上昇だった。死者数では、非黒人女性の死者は1・7%の増加だったが、黒人女性は60・5%増えている。
女性の犠牲者の28・5%は自宅で殺された。12年比では、自宅外で殺された女性は3・3%減り、自宅で殺された女性は17・1%増えた。銃による死者を見ると、自宅で殺された女性は29・8%増えている。
また、黒人の犠牲者は75・5%を占めた。07年は63・3%だったから割合は急増。死亡率は10万人あたり43・1人で、非黒人の16・0人を大幅に上回る。
また、15年と16年の比較では、同性愛の犠牲者が10%から15・7%に、両性愛の犠牲者は30・9%から35・3%に増えている。