経済省が進めようとしている社会保障制度改革において、連邦公務員に課そうとしている保障変更を州や市の公務員には適用しないものとする動きが連邦議会で広がっている。これに対し、全国の市で、州や市の公務員も社会保障制度改革の一環として組み込むよう、法的に訴える動きが起きている。1、4、5日付エスタード紙が報じている。
「連邦政府が、社会保障制度改革に地方公務員を含めることを断念しはじめている」と報じたのは1日付エスタード紙だ。それは、連邦議員の中で、地方公務員を含めることに反対する勢力が多いためだという。
その理由は、野党側の州知事や市長の選挙区の議員たちが、国レベルで行った改革の恩恵で野党の知事や市長が治める自治体の財政状態も良くなれば、自身が知事選や市長選に出馬した時に受ける恩恵が減り、選挙に影響が出ると考えているからだ。この傾向はセントロンや、ボルソナロ大統領の所属政党である社会自由党(PSL)の議員の中でも強いという。
さらに、連邦公務員と違う規定のある州や市の公務員は、早期に年金生活に入る人が多く、連邦公務員と同じにできないとする声もある。
だが、現状では、社会保障費が大きな財政上の負担となっている州や市は厳然としてある。2017年のデータによると、全国26州の州都で社会保障費が黒字を記録したのはわずか7市に過ぎない。それどころか、赤字額が1億レアルの大台に乗っている州都は11もあり、ワーストのサンパウロ市に至っては、46億7千万レアルの赤字を計上している。
このような状況下、州知事たちが連邦議会に圧力をかけ始めている。たとえば、民主社会党(PSDB)のジョアン・ドリア(サンパウロ州)、エドゥアルド・レイテ(リオ・グランデ・ド・スル州)、レイナウド・アザンブージャ(マット・グロッソ・ド・スル州)の各知事は、3日に同党所属で下院の社会保障制度改革特別委員会の報告官、サムエル・モレイラ氏と会い、改革の中に地方公務員も含めるようプレッシャーをかけている。
また、全国市町村連合(CNM)のグラデミール・アロウディ会長も4日にモレイラ報告官と会談し、同じく地方公務員を社会保障制度改革の中に組み込むよう願い出ている。
アロウディ会長によれば、現在は約2100市が独自の保障制度を持ち、残りの約3400市の公務員は国立社会保険院(INSS)傘下にあるなど、システムが市によってバラバラだが、全て一括して扱うことを望んでいる。それが叶わない場合は最高裁に訴えることも辞さないという。
政府の経済スタッフやロドリゴ・マイア下院議長は州や市の主張に理解を示し、一括での改革をと望んでいるものの、政党リーダーたちが強く反対しているという。