【既報関連】社会保障制度改革のための憲法改正案(PEC)への議員の支持を得るため、同PECに関する下院特別委員会の報告官、サムエル・モレイラ下議(民主社会党・PSDB)は12日、「社会保障制度改革を州や市の公務員にも適用すること」や「農村年金の制度変更」、「低収入高齢者対象の恩給制度厳格化、支給額減」などを断念すると語った。13日付現地各紙が報じている。
13日の下院特別委員会での意見書読み上げを前に、モレイラ下議は、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)や中道諸政党の幹部らに囲まれてインタビューを行った。「議会の根回しが進んでいない」との批判に対し、結束をアピールする狙いだ。
同下議はさらに、女性が年金を受給するために最低限必要な負担年数を15年のまま(政府案は20年)、女性教師の年金受給開始年齢も現状通りの57歳(政府案は男女とも60歳)とし、カピタリザソンと呼ばれる個人積立制度も見送るとの考えを明らかにした。
政府原案がそのまま通れば、今後10年間で1兆2千万レの歳出が削減出来る。だが、支持母体などの利益は確保したい議員たちを説得する過程で、削減効果が減る。
前記の「地方公務員年金は含めず」「農村年金の変更断念」「低所得高齢者向け恩給支給減額」「女性の最低負担年数は現状維持」「カピタリザソン見送り」などは皆、歳出削減を小さくする。
会見場に姿を見せた諸政党の幹部クラスは、改革案の見直しにより、歳出削減効果は10年間で8千億~9千億レになるだろうと語った。
モレイラ報告官は、政府歳入を上げる内容を意見書に加えることで、「10年間で1兆レアル削減のラインを守るつもりだ」とも発言した。
モレイラ下議は「(議員たちの協力を得るための)政府の努力はまだ足りない」とも語った。
会見には社会保障制度改革そのものには真っ向から反対する野党議員も出席したが、ボルソナロ大統領所属の社会自由党(PSL)の議員はほとんど姿を見せなかった。PSLからは議会の政府リーダー、ジョイセ・ハッセルマン下議だけが姿を見せ、マイア議長に対し、PEC成立のための尽力に感謝した。マイア議長は7月上旬の本会議採決を予想している。
モレイラ下議は、政府の歳入を増すための措置の具体案を、13日の意見書読み上げで明らかにするとした。
法人対象の税である、純益に対する社会納付金(CSLL)引き上げが有力視されている他、銀行の利益に対する課税措置も検討されている。
社会保障制度改革のPEC成立のためには、下院で議員定数513の60%以上、308票の賛成が2回必要で、その後上院の憲政委員会(CCJ)、上院本会議採決と続く。
上院でも定数81の60%以上、49票の賛成が2回必要だ。