13日、カルロス・アルベルト・ドス・サントス・クルス大統領府秘書室長官が、解任された。ボルソナロ政権では3人目(軍人閣僚では初)の解任で、ボルソナロ大統領らが信奉する極右思想家のオラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏や大統領の息子たちからの圧力と、オラーヴォ派との権力争いが原因と見られている。14日付現地紙が報じている。
サントス・クルス氏の解任は、13日に大統領から本人に直接告げられた。大統領に最も近い軍出身者の一人の解任は、アミウトン・モウロン副大統領さえ驚く、突然のものだったという。
大統領府のレゴ・バロス広報官によると、大統領は在任中のサントス・クルス氏の働きに感謝を示しており、友好関係には変化はないという。
だが、大統領府内部では、サントス・クルス氏らの軍人派とオラーヴォ派の間で深い確執があった。サントス・クルス氏は外務省傘下の機関の人事でも、オラーヴォ派のエルネスト・アラウージョ外相と、関係がうまく行っていなかった。
また、2月には、ボルソナロ大統領がブラジル銀行の宣伝を差し止め、大統領府社会通信局(SECOM)に検閲させようとしたのを止めさせ、大統領をいらだたせた。
今回の解任の直接的な原因は、SECOMのファビオ・ワインガルテン局長との対立だ。同氏はボルソナロ氏が3月にイスラエルを訪問した際に同行して話題になり、4月にSECOM局長となった。SECOMは大統領府総務室傘下で、運営費の管理などはサントス・クルス氏が行っていたが、それらを巡る対立があったという。
対立の激化が決定的となったのは、5月に入って、ブラジル通信社(EBC)運営審議会議長にサントス・クルス氏の側近のニウソン・カズミ・ノジリ陸軍大佐が任命された後だ。サントス・クルス氏は「通信がイデオロギーでゆがめられるのは許せない」と強く主張していたが、これを機に、オラーヴォ氏や大統領次男のカルロス氏らからの軋轢が一段と激しくなったという。
連邦議会は今回の解任を、「オラーヴォ派の勝利」と不安視している。サントス・クルス氏は議会内の調整役としてロドリゴ・マイア下院議長らから強い信頼を得ていた。連邦政府は2月にも政局調整役のグスターヴォ・ベビアーノ氏を内部分裂で失っている。
サントス・クルス氏の後任には、ボルソナロ氏の陸軍時代からの旧友でもあるルイス・エドゥアルド・ラモス・バチスタ・ペレイラ氏が就任する。同氏は陸軍南東軍司令官でもある。