ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》モロ法相=ルーラ裁判でさらなる疑惑=公判への捜査官選出に影響力=LJ斑は会話内容削除も=「過ちあれば辞任」宣言の翌日

《ブラジル》モロ法相=ルーラ裁判でさらなる疑惑=公判への捜査官選出に影響力=LJ斑は会話内容削除も=「過ちあれば辞任」宣言の翌日

19日のモロ氏(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

19日のモロ氏(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 19日に上院憲政委員会での質疑に答え、「自分に誤りがあれば辞職する」と言い切ったセルジオ・モロ法相だったが、20日のラジオ番組が、サイト「ジ・インターセプト・ブラジル」が新たに公開した情報を基に、ルーラ元大統領のパラナ州連邦地裁での裁判に先立つ、2017年3月の交信で、原告側の女性捜査官ラウラ・テスレル氏の交代に関して、上院での応答と矛盾があることを指摘した。21日付現地紙が報じている。

 20日付本面でも報じたように、モロ法相は、インターセプトの報道を「ハッカーによる違法なもの」として正当性を認めず、「自分に誤りがあれば辞める」とまで発言した。
 だが、20日、ラジオ「バンヂニュース」局の「オ・エ・ダ・コイザ」で、政治評論家のレイナウド・アゼヴェド氏が「インターセプトが公開した情報」を見ると、テスレル検察官に関するモロ法相の供述に矛盾点があると指摘した。
 モロ氏がルーラ氏の被告尋問の2カ月前の2017年3月13日に、テスレル氏に関して「公判での振舞いが頼りないから練習させろ」と言及していたことは、9日のインターセプトの報道で報じられていた。モロ氏は19日に上院でこの件を尋ねられた際、「私の一存で辞めさせたことはない」と発言していた。
 だが、インターセプトは、前述のモロ氏の発言後、ラヴァ・ジャット作戦担当のデウタン・ダラグノル、カルロス・フェルナンド・ドス・サントス・リマ両捜査官が行った同件に関する会話で、これまで出していなかった部分を公開した。
 その会話ではまず、ダラグノル氏が「モロ氏からの伝言は回ってきたか」と切り出しており、サントス・リマ氏が「受け取っていない」と答えると、ダラグノル氏からモロ氏がテスレル氏を批判した内容の伝言が送られて来た。
 その上でダラグノル氏は、「公判には別の捜査官2人を出席させるようだな。彼女には伏せたままで、被告尋問のための戦略を練る必要もありそうだ」と発言。それに対し、サントス・リマ氏が「だから、ジュリオ(・ノローニャ)かロベルソン(・ポゾボン)を推薦したんだ。ルーラの公判では自信のなさそうな素振りや詰めの甘さはゆるされない」と話していたことが明らかになった。実際の公判には、原告側捜査官としてサントス・リマ、ノローニャ、ポゾボンの3氏が出席。テスレル氏はルーラ氏の公判には参加していない。
 さらにこの後、ダラグノル氏が「この話の内容は消去してくれ」と依頼し、サントス・リマ氏が「いま、消した」と答えたところまでが報じられている。
 今回の件は、反ルーラ派、反労働者党派として知られるアゼヴェド氏の番組で報道された点でも注目された。元グローボ局系列のジャーナリスト、シヂネイ・レゼンデ氏も「極めて重大な問題だ」とし、ブラジル民主主義法学者協会のカロル・プロネル氏も、「協力どころか、検察側の長だ」と批判している。