サンパウロ市では昨年来、市南部を中心に、環境保護区に侵入、定着する人が増えているが、その多くは組織的な犯罪と24日付現地紙が報じた。
環境保護区への侵入が目立つのは、グアラピランガ湖やビリングス湖の周辺部だ。これらの貯水池は、サンパウロ市や隣接する市の住民500万人への水の供給源で、水源保護や水質維持のためにも環境法遵守は欠かせない。だが、少なくとも市内24カ所で、環境保護区に立ち入り、住み着く例が確認されているという。
当局が特に懸念しているのは、南部のグラジャウー区ジャルジン・ダス・ガイヴォッタスのように土地を分譲して売り出す例だ。同区では、1万レアルの頭金で125平米の土地が買えるという看板があちこちに掲げられているという。
また、7キロ先のジャルジン・カストロ・アウヴェス区には、平米単位の金額は相場の倍だが、「独自の貸付を行うから所得証明や負債の有無の証明不要」との宣伝文句で誘う看板が見られる。
市議会では不法な土地分譲を行っている犯罪組織に関する調査委員会を開設する意向だが、不法侵入が起きた土地では、麻薬の密売が行われている例も多々見られる。
不法侵入が起きた環境保護区は、シダーデ・チラデンテス、パレリェイロス、Mボイ・ミリン、カペラ・ド・ソコーロ、ペドレイラなど、各地に広がっている。
パレリェイロスでは、土地の入り口の薮だけ残してその後ろを整地したら、ブロック塀を建て、あっという間にトラクターを入れて分譲開始という例も見られる。同地区の土地分譲を指揮していた人物の1人は2カ月前に死んだが、州都第一コマンド(PCC)と繋がりがあったという。
他方、25日付現地紙は、サンパウロ市の橋の下に板囲みの小屋やレンガ造りの家を作って住んでいる人の事や、橋の下が瓦礫の捨て場や麻薬常用者の隠れ家になっている例などを報じている。
21日の火災後、25日現在も人や自転車、軽量車両以外の車が通行できないジャグアレー橋も、路上生活者が住み着いていた例だ。市役所によれば、この橋以外の七つの橋の下に約800人が住んでいるという。
だが、ジャグアレー橋から4キロ先にあり、パウリスタ都電公社(CPTM)の電車がその下を通る橋の下には、約1千人が住んでいるとの情報もある。この橋の下のファヴェーラでも、6年前に火災が起きている。
橋の下では、住民が勝手に引き込んだ電気の線がショート(短絡)を起こす例や、煙草の投げ捨てや焚き火が原因で火災発生という例が多い。
犯罪組織の資金作りや不況に伴う路上生活者の増加、住宅政策の遅れなど、様々な要因が、不正に分譲された土地や危険な場所への定着を招いているといえそうだ。