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《ブラジル》大統領暫定令、立て続けに敗北=先住民管轄は法務省のまま=最高裁判事が議会判断を追認

24日のボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

24日のボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 最高裁のルイス・ロベルト・バローゾ判事は24日、先住民保護区指定などに関して政府が出した暫定令(MP)886号を差し止める判断を下した。これで、少なくとも当面は、先住民保護区の指定は国立インジオ保護財団(FUNAI)の担当に戻され、同財団の所属は法務省となる。25日付現地紙が報じている。

 バローゾ判事の判断は、労働者党(PT)、民主労働党(PDT)、レデ(REDE)の3党が、MP870号を改定したMP886号に対して合同で行った訴訟に対して下したものだ。
 MP870号は、今年の1月にボルソナロ氏が大統領に就任した際に出された。このMPは、先住民保護区の指定は、FUNAIの管轄下から農務省の管轄下に移され、法務省管轄下だったFUNAIも、人権省の管轄下に移されるという内容だった。
 だが、今年の5月、ボルソナロ大統領が省庁数削減に関するMP870号を下院で承認させようとした際、下議の投票により、先住民保護区の指定権はFUNAIに戻され、FUNAIも法務省管轄下に戻されることが決まった。この変更案は上院でも承認された。
 だが、ボルソナロ大統領は5月に連邦議会が出した判断を無視し、19日に再び、MP870号を改定し、先住民保護区の指定を農務省の管轄下に置くという内容のMP886号を出した。
 この行為は議会からの強い反発を買うこととなったが、大統領は「先住民の保護区について決めるのは自分だ」と主張して引かなかった。
 だが、今回の判決により、伝統的に先住民やキロンボの居住区だとされている場所に関しては、農務省による再編や制限を受けることはない、という判断が下された。つまり、「農地開発」などを理由として、先住民の保護区や居住区を再編することはできなくなったということだ。
 バローゾ判事は、「議会で一度決められた法案を、新たな暫定令で蒸し返すことはできない」との判決を下している。この判決は、同じ年度内に同じ主旨の法案を提出することはできないという憲法上の規定に反するとの判断によるものだ。
 また、この判決が出る前から、上院は、MP886号を無効にする準備を整えようとしていたという。
 ボルソナロ氏は大統領に就任する前にも、先住民やキロンボの保護区に関して、「1平方センチたりとも増やさせやしない」と発言し、問題となっていた。
 今回の判決は、ボルソナロ大統領にとって、銃携行の大統領令が上院で却下されたのに続く敗北となった。