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銃規制緩和の大統領令廃止=議会や裁判所の圧力受け=同じ内容を分割、再提案=「議会の理解が肝要」とマイア議長

ボルソナロ大統領(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

ボルソナロ大統領(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 【既報関連】ボルソナロ大統領は25日、1月と5月に出した、銃の所有と携行の条件を緩和する大統領令を廃止したが、同件に関する新たな法案を議会に提出し、大統領令を三つ出した。25、26日付現地各紙・サイトが報じている。

 「所有」とは、銃購入者が自宅もしくは職場に銃を置いておく場合を指し、「携行」はそれらの場所の外に銃を持ち出す場合を指す。
 大統領は1月に銃所有などに関する規制を緩和。5月7日にも、銃の所有と携行、銃弾の購入などに関する規定を緩和する大統領令を出し、同月22日に改定した。
 しかし、これらの大統領令の内容は批判を浴び、上院憲政委員会が6月12日に大統領令の廃止を求める意見書を採択。上院本会議も18日に大統領令を否決した。
 また、26日には最高裁で、大統領令の無効化を求める請願の検討が行われることにもなっていた。議会、最高裁から立て続けに否定される前に、政府は自分で大統領令を廃止した格好だ。
 オタヴィオ・バロス政府広報官は25日の午前中、「大統領令は廃止しない」と語っていたが、その日の午後、上院議員たちとの会合の場でオニキス・ロレンゾーニ官房長官が廃止を明言した。
 政府の方針は、大統領令を廃止した直後に出された法案を議会が承認するのを待つことだと、同官房長官は発言。承認されるまでは、2004年に成立していた同件関連法がそのまま有効だ。
 「銃規制に関する法的真空状態が発生するのを避けるため、04年に成立した銃規制関連法を改定する」とロレンゾーニ官房長官は発言した。
 25日付官報には、大統領令9844~9846号の廃止と、銃、弾薬の登録、所有、販売規定を変更する法案を、政府が議会に提出したことが書かれているが、変更された内容の詳細は明らかにされていない。04年に成立した法を改定し、銃の所有や携行が認められる職種などを明確にするようだ。
 ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(民主党・DEM)は、「官房長官によると、政府提出の法案は農村地帯の銃所持に関するものだ」と25日午後4時過ぎにツイッターに投稿した。
 ロドリゴ・マイア下院議長(DEM)は政府が大統領令を廃止したことを、「何が最良の道かを理解した」結果と評価。「ここ数日、火器の使用を擁護するかの印象を与える大統領令は廃止して政府立法を行い、きちんと議会の理解を得ることが最良の方策だと、話し合ってきた」と語った。
 ボルソナロ大統領は銃規制の緩和に執心しており、政権発足直後の1月5日に最初の大統領令を出した。5月7日と22日にはさらに、命の危険がある19職種の人物に銃の携行を認めたり、一般市民にもライフルの所有を認めたりする内容の大統領令を出していた。