ブラジル中銀は27日、今年の国内総生産(GDP)成長率予測を、3月末に発表された前回予測の2・0%から0・8%に下方修正したと、同日付現地サイトが報じた。
中銀は、毎週月曜に、経済指標予測集フォーカスも発表している。24日発表のフォーカス最新版でのGDP成長率予測は、0・87%(17週連続下方修正)だった。
フォーカスは、中銀が100以上の金融機関に対して行った聞き取り調査をまとめたもので、中銀独自の予測ではない。このため、中銀独自の予測(0・8%)とフォーカスの予測(0・87%)の間にずれが生じる。なお、フォーカスは毎週更新されるが、中銀独自予想の更新頻度は3カ月ごとだ。
こうした「19年全体のGDP成長率予測」とは別に、地理統計院(IBGE)が5月30日に出した今年第1四半期のGDP成長率はマイナス0・2%だった。17、18日に行われた通貨政策委員会(Copom)の議事録に、「第2四半期も第1四半期と近い結果になるだろう」と書かれており、第2四半期もGDPがマイナスになると、「2回の四半期連続でのGDP」となり、統計的には景気後退(リセッション)となってしまう。
それでも「年間GDP0・8%成長」の予測を出した中銀は、報告書に「0・8%成長予測はブラジル経済に必要な改革や調整が行われ、今年の後半は経済活動がいくぶん回復することを前提にしている」と記した。
中銀は、GDP成長率予測と共に、産業部門別の成長率予測も出している。それによると、鉱工業部門の予測成長率は前回の1・8%から0・2%へ、商業部門も2・3%から0・9%へと下方修正された。農牧畜部門は1・0%から1・1%でほぼ横ばいだった。
他のGDP構成要素である家計消費は2・2%から1・4%へ、投資も4・3%から2・9%へと下げられた。
中銀はまた、今年末時点の広範囲消費者物価指数(IPCA、公式インフレ率)予測も、3・9%から3・6%へと修正した。
中銀は経済と、インフレの情勢を考慮しながら経済基本金利(Selic)を操作する。
現在の低インフレ、経済停滞の傾向は、Selicの引き下げを後押しする要因だ。現在のSelicは史上最低水準の年利6・5%だが、9月以降さらに下がるだろうと、多くの金融機関は予測している。