ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》200人超死亡の鉱滓ダム決壊事故の賠償で基本合意=管理責任会社は遺族に70万レアル(約2100万円)

《ブラジル》200人超死亡の鉱滓ダム決壊事故の賠償で基本合意=管理責任会社は遺族に70万レアル(約2100万円)

ブラジル史上最大の環境事故は200人以上の命を奪った(Vinicius Mendonca/Ibama)

 【既報関連】ミナス州労働検察局と鉄鉱大手Vale社は15日夜、1月25日にミナス州ブルマジーニョで発生した鉱滓ダム決壊事故に関して、Vale社が遺族に支払う賠償金額や補償内容で大枠合意したと、15、16日付現地各紙・サイトが報じた。

 ミナス州防災局の最新統計によると、事故による死者は248人で、行方不明者も22人いる。合意は、事故で犠牲となった270人の中の242人の遺族が対象となっている。242人の内、130人は下請け企業の社員だ。
 犠牲者の配偶者(正式な婚姻関係にないパートナーも含む)、子供、親たちはVale社から70万レアルを受け取ることが出来る。この金額は精神的苦痛の賠償分が50万レアル、労災分が20万レアルだ。また、被害者の兄弟姉妹もそれぞれ15万レアルを受け取れる。
 合意内容は公聴会に先立ってブルマジーニョで開かれた遺族会総会(14日)で報告され、承認もされていた。
 精神的苦痛での賠償額(遺族1人あたり50万レアル)はブラジル労働裁判史上最大だと、労働検察局のジェラルド・エメジアウト・デ・ソウザ氏は語る。
 労働検察局は当初、遺族1人につき100万レアルの賠償金を求めていたが、交渉過程で70万レアルとなった。しかし、犠牲者1人の遺族を、妻1人、子供2人、両親2人、兄弟2人と想定すると、賠償金額は、1家族あたり平均380万レアルになる。
 また、Vale社が遺族団全体への損害賠償として4億レアルを支払うことも、8月6日に正式決定となる予定だ。
 損害賠償の支払いが確定したことで、凍結されていたVale社の資産16億レアルの凍結解除を司法が認めたと、Vale社は発表した。
 また、犠牲者の被扶養家族には、犠牲者がうけとっていた給与を基に算出された扶養手当を、犠牲者が生きていれば75歳になる時点まで毎月継続して支払われることも決まった。
 15日に合意が成立したため、遺族はVale社と個人合意を結ぶことで賠償金を受け取り始められると、Vale社は発表した。
 また、事故当日に現場で働いていた人たち(生存者)には、直接雇用か下請けかを問わず、3年間、雇用が保障されること(estabilidade no emprego)や、3歳までの子供がいる人には保育援助費として1人あたり920レアル、25歳までの子供がいる人には教育補助費として1人あたり998レアルが支払われることも、合意内容に含まれていることを労働検察局が明らかにした。
 犠牲者の配偶者、25歳までの子息、被扶養者に対する保健プランの費用を支払うことや、犠牲者の両親には精神面のケアも含めた診療医療費を支払うことも合意内容に含まれている。