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商議所昼食会=経済学者が現政権の課題提起=「まず年金、次に税制、教育まで」

講演を行うラティフィ氏

 ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)は「6月定例懇親昼食会」を6月19日、サンパウロ市内のマクソウド・プラザ・ホテルにて開催し、150人以上が出席した。新聞など各種メディアで活躍する経済学者のゼイナ・ラティフィ氏、元連邦下議で現在サンパウロ商業登記所(JUCESP)の所長を務める飯星ワルテル氏が講演を行った。
 ラティフィ氏は「今後の経済展望について」と題し、現政権の課題を挙げ、近年の政権を評価。現政権が取り組むべき課題は、社会保証制度改革による歳出削減と財政再建が最優先。次に税制の簡素化、基礎教育の徹底とした。
 「ブラジルは支出に関して年金支給の割合が国際的にみても高い。高齢化も急速に進んでおり、財政再建のために社会保証制度改革は不可欠。改革案は承認されるはずだが、承認の過程で歳出削減が小さくなる恐れがある」と説明した。
 税制も複雑で頻繁に変更されるため、起業が妨げられ事業経営が不安定になる。加えて、若者の教育水準が非常に低く、国の成長のためにも若年層の教育の充実が急務だと説いた。
 ジウマ政権に関しては、無責任な政策で財政を大きく悪化させたと苦言を呈した一方、前テメル政権は不人気ながらも堅実に労働法改正を行ったと評価した。

講演を行う飯星氏

 飯星氏はJUCESPの役割を説明。同所は1985年設立、12年に独立行政法人化。ブラジルでは、法人は会社の設立、株式の増資、経営者や住所の変更などのために、商業登記所で登録する必要がある。
 同氏は所内の書類のデジタル化、業務の見直しを進めている。企業開設に関する業務では、昨年に一案件あたり平均3・6日要したところを、24時間に短縮。今後も全国の商業登記所のシステム統合や書類のデジタル化、業務の簡略化を進める予定とした。
 また会員企業の代表者交代の挨拶では、久光ブラジル(久光製薬株式会社)の平松太郎新社長が挨拶を行った。