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《ブラジル》連邦検察次期長官候補が及び腰=大統領の反感を恐れる?

ラケル・ドッジ連邦検察庁長官(Paulo Matos/TV Brasil)

 【既報関連】ジアス・トフォリ最高裁長官が16日に下した、「司法の許可を得る前に金融監査機関(Coaf、国税庁、中銀など)のデータを使用して行われた犯罪捜査を一時停止とする」の決定が、ジャイール・ボルソナロ大統領の長男、フラヴィオ・ボルソナロ上議(社会自由党・PSL)が関わる汚職疑惑の捜査を停止させた。
 決定に強く反発する立場の検察だが、9月改選の次期連邦検察庁長官候補らは皆、今一つ歯切れの悪い物言いに終始していると、19日付現地紙が報じた。
 現在の連邦検察庁長官はラケル・ドッジ氏が務めているが、彼女の任期は9月で終了する。6月に検察内部で行われた選挙では、マリオ・ボンサリア氏、ルイーザ・フリシェイセン氏、ブラル・ダッロウル氏が得票上位3位を占めた。選挙に出なかったドッジ長官も再任に意欲的と見られ、ボルソナロ大統領は、4人の中から次期長官を指名することになる。
 4人が声高にトフォリ長官に異議を唱えないのは、ボルソナロ大統領の機嫌を損ねることを避けているか、もしくは、大統領が次期連邦検察庁長官を指名する際に影響力を持つ可能性があるトフォリ最高裁長官に反旗を翻したくないからではないかと、地元紙は分析している。
 全国の検事たちからは、「検察のリーダーとして、強い反発のメッセージを出すべき」との声が上がっている。トフォリ最高裁長官の決定は膨大な数の犯罪捜査野裁判に影響を及ぼすと考えられるからだ。
 実際に、トフォリ長官の発言当日から被告弁護人などから、捜査差し止め請求などが出ている。また、連警も18日に、今回の決定に該当する案件の捜査停止を決めた。
 関連捜査の一時停止期間は、「司法許可を得ずに監査機関のデータを使って金融犯罪捜査を行うことの是非」に関する審理を最高裁が行う11月21日までだ。
 ドッジ氏は既に懸念を表明済みだが、得票1位のマリオ・ボンサリア連邦検察庁副長官は、「今回の件は連邦検察庁長官が扱うべきこと。他の検事の領分には口を挟まないことにしている」とし、3位のブラル・ダロウル地域検察官も、「最高裁審理を8月に早めた方が、法的安全性が保たれるのではないか」と語るに止めた。2位のルイーザ・フリシェイセン連邦検察庁副長官だけは、「最高裁長官の決定はフラヴィオ氏の件に限定すべきだった。最高裁判事の決定は反響が大きいから、慎重に取り扱われるべき」とした。