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《サンパウロ州》今年に入って、5月までに2千件超の工場閉鎖=過去10年間で最多の件数

サンパウロ州ジャカレイー市の自動車工場(Chery do Brasil)

 州別の工業生産高が国内最大のサンパウロ州で、今年1月から5月にかけて、2325カ所の工場閉鎖が発生したと、21日付現地紙が報じた。
 この統計は、製造・加工業と、採掘業(鉱業)に限定したもので、今年の数字は過去10年間では最多で、昨年比で12%増えた。
 このデータは、2014年半ばから16年末まで続いた景気後退の後、一向に回復しない景気が工業界を縮小させていることを示している。
 2014年から18年にかけてのブラジルの国内総生産(GDP)は累積で4・2%減少したが、同じ期間中、製造加工業は14・4%縮小した。
 投資顧問会社MBアソシアードスのエコノミスト、ジョゼ・メンドンサ氏は、「工業生産がかなり落ち込み、企業にも大きな影響が出たことが、工場閉鎖や解雇による雇用減という形で表面化している」と語った。
 今年1月から5月にかけては、4491カ所の工場も開き、閉鎖された工場数と差し引ければ、稼動している工場数は2166の純増だ。
 ただし、メンドンサ氏は「稼動数が増えても、工業部門限定の国内総生産(GDP)は下がり、生産高の縮小は明らか。おそらく、今年5月までに閉鎖されたのは中・大規模工場が中心で、開いたのは小規模工場だろう」としている。
 サンパウロ州内陸部ジャウー市の靴製造業者組合のカエタノ・ビアンコ・ネット氏は、「過去数年間で、従業員300~400人規模の工場が次々に閉鎖された。大工場が一つ閉鎖されると、小規模工場が三つ、四つ、時には元従業員の手で開かれたりするが、解雇された労働者全員が職に就ける規模ではない」と語る。
 4月に工場を閉鎖したサンパウロ市西部の自動車部品メーカー、インデブラス社では150人の雇用が失われた。給与は遅配、違約金も払われていないため、従業員らは工場前で48日間キャンプを張った。労働裁判所の調停で、会社は18回払いで払うと約束した。
 サンパウロ市・モジ・ダス・クルーゼス市金属労組理事のエルロン・ソウザ氏は、「会社側は分割払いを提案しているが、他の会社同様、初回分しか払わないのではないか」との懸念を表明している。