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《ブラジル》8割は基本的な書類さえ持たず=刑務所を出た後の生活見据え

 ブラジル国家法務審議会(CNJ)は、ブラジル国内の26州と首都ブラジリアがある連邦直轄区(区分上、州扱い)の内、刑務所の収容者が市民生活を送るために必要な種々の書類(文書)の管理が出来ているのは5州だけと発表した。
 ブラジル最高裁長官にしてCNJ会長でもあるジアス・トフォリ氏によると、国内の刑務所の収容者の80%、実数で79万7千人は、ブラジル国内で生活していくのに最低限必要な基本文書を持っていない。
 CNJは、労働手帳、出生証明、選挙人登録、身分証明書(RG)、納税者番号(CPF)などを基本文書と定めている。
 収容者がこうした書類を所有していないと、大きな不都合が生じている。例えば、所内に学校があり、更正の一環として通うことが出来る場合でも、CPFがないと生徒として登録できない。
 RGを持っていないと、国内の無料医療システム、統一医療保健システム(SUS)の診察券も取得できない。
 囚人が、夜間、祝休日限定の禁固刑(セミアベルト)になった時、平日の昼間にどこかで就労しようと思えば、労働手帳が必須だ。
 6月末に選挙高裁で開かれたイベントで、ジアス・トフォリ最高裁長官は、「収容者はどんな人でどんな環境で育ってきたか、どんな適性があるかなど、我々は殆ど把握していない。収容者の多くは、身分を証明する基本的な文書さえ持っていない。そのことが彼らの更正をさまたげ、社会から一層疎外される存在にしてしまっている」と語った。
 こうした現状を改善するための収容者への基本文書の発行は、各州の登記所の協力を得て、今年1月に始まった。同時にCNJは収容者を対象に生態認証登録も始めた。これらのプロセスが完了するのは9月の見込みだ。(22日付エスタード紙より)