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《ブラジル》米国との貿易協定に意欲=トランプ大統領の前向き発言受け=「簡単ではない」と米商務長官

ボルソナロ大統領(Marcos Correa/PR)

 ドナルド・トランプ米国大統領が7月30日に、ブラジルとの自由貿易協定締結に前向きな姿勢を表明したことで、ブラジル経済省貿易局長のマルコス・トロイージョ氏は、「ブラジルは『野心的かつ包括的な』米国との貿易協定締結を目指す」と語った。7月31日付ブラジル紙が報じた。

 トロイージョ局長は、「ブラジル政府が目指すのは、関税障壁や税金を相互に可能な限り少なくするもの。ブラジルが所属する南米南部共同市場(メルコスル)として、米国と合意を結ぶ必要がある」とした。メルコスルは6月末に、EUとの間で自由貿易協定を結ぶことで基本合意に達している。
 トランプ大統領の発言で、米国との自由貿易協定締結に向けた機運が高まってはいるが、サンパウロ市を訪れているウィルバー・ロス米国商務長官は7月30日、「事はそれほど簡単ではない」と水を差す発言を行った。
 同長官は、メルコスルがEUと結んだ約束を、対米国にもそのまま適応するのは難しいとしている。長官は、EUと米国では、薬品、化学製品、食料品、自動車などの分野の諸事情が異なり、また、植物衛生に関する考えも違っているとした。
 しかし、トランプ大統領がブラジルやアルゼンチンに好意的なサインを出しているタイミングを最大限利用すべきとの見方が、ブラジル政府や民間企業の中にはある。
 在ブラジル米国商工会議所(Amcham)のデータによると、貿易収支やサービス収支で見た米国は、世界最大の相手国で、2018年にはブラジル産品(財貨)287億ドル分を輸入している。また、2017年の米国向けサービスの額は160億ドルに上っている。また、ブラジルの18年の米国産品輸入額(290億ドル)は、世界トップ10に入っている。
 トランプ大統領とボルソナロ大統領は、6月末に日本の大阪で開催されたG20首脳会議で個別会談も行っている。トランプ大統領はその席でボルソナロ大統領を賞賛するなど、両者の個人的関係は良好だ。トランプ米大統領は、ボルソナロ大統領が三男のエドゥアルド氏を駐米ブラジル大使に任命しようとしていることに対し、「すばらしい人事で、自分としても幸せに思う」と発言している。
 ブラジル工業連盟(CNI)も、ブラジルは好機を迎えているとの認識を持っている。ジエゴ・ボノモCNI国際部長は、「これまで長い間、ブラジル政府は米国と近しい関係を築くことに熱心ではなかった。しかし、民間企業は米国との関係強化に前向きだったので、政府の後押しなしで進めてきた」と語っている。
 ウィルバー・ロス米国商務長官は7月31日に、ブラジルのボルソナロ大統領や経済政策スタッフと会談を行い、ブラジルからの砂糖やエタノールの輸入を増やす代わり、ブラジルは米国から小麦を多く輸入することなどが話し合われた。