ブラジル東京農大会(東京農業大学校友会ブラジル支部、原島義弘会長)は7月28日午後、同会の創立50周年を祝し、記念式典をサンパウロ市サウーデ区の同会館で行った。日本から同農大教員や、アルゼンチン(亜国)、パラグアイの農大会校友も来伯し、約70人が出席。先亡者の軌跡、ブラジルでの校友の繁栄を確かめ合った。
日本から同農大の新部昭夫副学長ら5人が来伯。村藤修アルゼンチン農大会会長、合田義雄パラグアイ農大会会長、在サンパウロ日本国総領事館から野口泰総領事、国際協力機構(JICA)ブラジル事務所の佐藤洋史所長、ブラジル日本文化福祉協会の山下譲二副会長も祝福に駆けつけ、学歌斉唱、ケーキカット、農大銘酒の鏡開きをし、創立50周年を盛大に祝った。
原島第11代会長は挨拶で「時代の激しい変化の中、創立50周年を迎えられたのは、大学と会員の皆さんのおかげ」と感謝の意を表し、「農大会が今後どうするべきか考える時は、まず先人の功績を振り返る。そこに道しるべが示されている」と歴代10人の会長の功績を確認した。
その上で「先輩校友はブラジルの地域社会、日系社会の発展に大きく貢献しながらも、派手ではなくこつこつと精一杯生きてきた。この生き方を私達も歩んでいくことができれば、ブラジル農大会の将来は盤石だと思う」と語りかけ、出席者は大きな拍手を送った。
山下文協副会長は「今年で111年を迎えた日系社会の根底には農業があり、そこに農大の貢献もあった」と称賛。他にも大澤貫寿農大理事長、高野克己学長による祝電も読み上げられた。
祝賀会で同窓との思い出話で盛り上がった、パラグアイから出席した合田さん(74、愛知県)は、「農大会がなかったら日本へ帰っていたと思う。ここには家族同様の絆がある」と話した。
グァタパラ移住地で生まれ育ち、ポンペイア市の西村農業技術専門学校を卒業後、農大卒業生の伯父の勧めで農大に4年間留学していた近藤和彦フェルナンドさん(41、二世)も、「先輩に会いたくて農大会に来ている。自分もそうしてもらったように、今後は後輩を育てていきたい」と世代を超えた結束の強さを見せた。
同日午前にはグアルーリョス市のサンジューダス・タデウ墓地にある農大慰霊碑前で、第47回慰霊祭を挙行。約50人が参列し、同学の先亡者を弔った。
現在のブラジル農大会会員は110人。ブラジル国内では同会が日本の学卒者団体で唯一、法人登録されている。同会は、1969年に佐藤貫一氏がブラジル支部として設立。同氏が初代会長を務めた。78年に旧農大会館「東京農業大学ブラジル研修センター」を設置し、79年にブラジル東京農大会として法人化。04年には現在の会館が建設され、移転した。現在も農大の実習生や留学生の受け入れ先として使用されている。