【既報関連】国立宇宙研究所(Inpe)が6月の法定アマゾンの森林伐採に関するデータ公表後、ボルソナロ大統領から批判され、反論していたInpe所長が解任されたと2、3日付現地紙、サイトが報じた。
科学技術省傘下の研究機関であるInpeの所長リカルド・ガウヴァン氏の解任は、マルコス・ポンテス科学技術相との会談後に本人が明らかにした。同解任劇は、7月19日に始まった、ボルソナロ大統領によるInpeやガウヴァン氏に対する批判が原因だ。
大統領は、6月のアマゾンの森林伐採面積は920・4平方キロで昨年同月比88%増との報告は「昨年同月のデータと酷似」しており、Inpeはまるで、どこかの非政府団体の出先機関のようだとも語った。
だが、ガウヴァン氏は20日、Inpeのデータは世界中からアクセス可能で、改ざんや隠蔽の余地はない事を明言。Inpeのデータは、DETERと呼ばれる森林伐採管理システムによるもので、観測衛星からの情報は逐次、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)に送られる。情報の信憑性は、ポンテス科学技術相や国内外の科学調査機関も認めている。
大統領の批判についてはポンテス科学技術相も首を傾げていたが、その後、7月26日現在の森林伐採は昨年同月比212%増との情報や、18年8月~今年7月31日の伐採面積は前年同期比で40%増といった情報が流れ、大統領を刺激した。
リカルド・サレス環境相は1日、法定アマゾンの森林伐採は増加傾向にあるものの、Inpeのデータには以前に伐採された分も混じり、二重にカウントされていたと発表。環境相は、「Inpeのデータは国のイメージを著しく傷つける」「データが正しくても、伐採増加は内部で話し合い、解決できる問題」と語ったが、科学者達は疑問を呈している。
会見には、ボルソナロ大統領とエルネスト・アラウージョ外相、アウグスト・エレノ大統領府安全保障室長も同席した。
19日以降、ガウヴァン氏の業績や人柄を知る国内外の科学者は皆、同氏の功績や、情報の透明性を擁護し、真実を伝えようとする姿勢を賞賛。同氏解任は国際社会からも批判を浴び、ブラジルのイメージを損なうとの声も出ているが、大統領は自分や家族にたてつく者を切る姿勢を強めている。
この姿勢は、パウロ・ゲデス経済相に圧力をかけ、金融活動管理審議会(Coaf)議長を更迭させようとしている事にも見える。同議長は、大統領長男フラヴィオ氏を巡る疑惑捜査に関し、ジアス・トフォリ最高裁長官が出した、裁判所の許可を得ずにCoafの情報を使った捜査は中止との判断を批判していた。