大阪市で行われたG20サミットに参加するため、6月27~29日に訪日したジャイール・ボルソナロ大統領に同行した西森ルイス弘志連邦下院議員(70、二世、PR)。G20の裏話や、今後の連邦議会の方向性について聞いてみた。
「あんなに警備が厳重なのを初めて見た。どこを見ても警官がズラリ。すごかったね」――開口一番、西森下議はG20の感想をそう語った。
訪日中、ボルソナロ大統領と共に各国の首脳陣との対話に同席した西森下議。「驚いたのは、ロシアのプーチン大統領。通訳以外誰も連れずに一人で会議室に入ってきた。僕とも5分くらい立ち話をした。向こうから『僕は柔道をやっているんだ』と言ってきた」との逸話を披露した。
さらに「トランプ大統領や、サウジアラビアのムハンマド皇太子等と話した。トランプ大統領とは写真も撮りましたよ」とその時の様子を語る。日本の安倍晋三首相との会談では、「ブラジル側からEPA(経済連携協定)締結に向けての話し合いを始めようと提案し、貿易などについて色々と話し合った」とし、日伯の経済交流強化の方向で合意している。
ボルソナロ大統領は10月には中国、サウジアラビア等の歴訪を予定。加えて10月22日の新天皇即位の「即位礼正殿の儀」も出席する意向があり、「大統領が行けなければ、ハミルトン・モウラン副大統領が行く。私も含め、ブラジルから7名は行くのでは」とも。
また、安倍首相が11月にチリ・サンチャゴで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議に出席する予定であることから、ボルソナロ大統領は「そのときにブラジルまで足を伸ばしてほしい」と来伯を要請する招待状を渡したという。G20に続いて11月にも日伯首脳会談があれば、EPA締結に向けた議論開始にはずみが付きそうだ。
今週から再開した連邦議会については、「社会保障改革は下院議会で2回目の採決をすんなり行い、上院に回る。今の改正案では州と市の公務員が入ってないが、上院ではこれを組み込んで可決する予定。この条文修正を受け、もう一度、下院議会に戻して採決し、8、9月中には最終承認となるのでは」との見通しを語った。
その後「税制改革の方も今年中に進める。税制が複雑なので、流通税などをシンプルにしたい」と意気込む。さらに「相続税を上げ、高額所得者への課税率を上げる案も出ている」とのこと。
EU・メルコスール間の自由貿易協定(FTA)交渉開始が政治合意に至ったことを挙げ、「米国もおそらくFTAを締結しようとするのでは。そうなったら日本も」と強気な発言。「ブラジルの景気が良くなれば、世界中の投資家の注目が集まってくる。そのためには、まず社会保障改革と税制改革を今年中に通さなくては」と強調した。
□関連コラム□大耳小耳
昨年3月、ボルソナロ氏は大統領選候補者として、西森ルイス下議と訪日した。その際、なんとボルソナロ氏は「行き帰りの飛行機は全てエコノミークラス」だったとか。しかも日本滞在中は「アパホテルで3600円の部屋に全員で泊まりました」と西森下議は驚きの逸話を披露した。「僕一人ならニューオータニに泊まるけどね」と苦笑い。大統領は意外と庶民的な感覚?
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西森下議は、来年が入管法改正によるデカセギブーム開始30周年であることから、そのお祝いに訪日してイベント開催を企画中という。「ブラジルのカラーを出して、日伯の友好関係を訴えていきたい」とも。さらには「来年はロドリゴ・マイア下院議長を日本に連れていきたい」と意気込んだ。実現すれば、日伯の関係はさらに強化される!?