ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》検察庁次期長官に保守派を望む大統領=第一候補はリスト外の人物=規定に従えばボンサリア氏か=現職のドッジ氏は微妙

《ブラジル》検察庁次期長官に保守派を望む大統領=第一候補はリスト外の人物=規定に従えばボンサリア氏か=現職のドッジ氏は微妙

再任が微妙なドッジ長官(Paulo Matos/TV Brasil)

 ボルソナロ大統領は、次期連邦検察庁長官に、左翼やマイノリティの人権保護や環境支援を行う左翼勢力とは縁のない保守派の人物を選ぼうとしており、再任を目指す現職のラケル・ドッジ氏は選ばないであろうと予想されていると、6日付現地紙が報じている。

 次期検察庁長官の指名は17日までに行わなければならず、ボルソナロ大統領は今週中にも指名を行うのではないかと見られている。
 フォーリャ紙が報じているところによると、大統領の第一希望は検察庁副長官のアウグスト・アラス氏だという。
 アラス氏と大統領は、下院の銃問題グループのリーダーでもあった元下議のアルベルト・フラガ氏(民主党・DEM)の紹介で知り合った。同氏は2日にボルソナロ氏とも会談を行ったが、大統領は会談後、アラス氏を「ブラジルを前進させる人物だ」と評している。
 だが同氏は、検察庁長官選出の際の慣例となっている、検察庁内部選挙で選ばれた3人の候補(トリプリセ)には入っておらず、これを無視して選ぶと波紋は避けられない。
 大統領がトリプリセに従った場合は、トリプリセの第一候補になっているマリオ・ボンサリア氏が有力と見られている。
 ボンサリア氏はボルソナロ氏に好意を抱いていると言われ、検察庁の内部選挙の際も、「ボルソナロ氏と良好な関係を築けるのではないか」との期待感から得票を得た背景がある。
 ボルソナロ氏の今回の検察庁長官人事での狙いは、同庁内の左派勢力とのつながりの薄い人物を選ぶことだ。大統領は特に、ジウマ元大統領によって選出されたロドリゴ・ジャノー前長官に近い人物を嫌っている。その代表例は、ジャノー氏の指名で同庁市民権局の局長に就き、ドッジ氏が留任させたデボラ・ドゥプラ副長官だ。フォーリャ紙によれば、ドッジ氏の再任が難しいと見られている理由の一つがデボラ氏を留任させたことだという。
 同局はマイノリティの人権保護などの支援が仕事で、ボルソナロ氏に対しても、「教育現場やメディアの検閲」「銃規制緩和」「1964年の軍事政権開始を祝う」に反対し、「ザヴァ・ジャットでの報道の自由」などを訴えてきた。
 また、エスタード紙が5日にボルソナロ氏を直撃したところ、「環境保護などを訴える人物は選ばない」との意向も明らかにしたという。
 なお、現長官のドッジ氏や最高裁判事らはドッジ氏の再任を願っているが、その可能性は低いと見られている。ドッジ氏は環境や人権擁護を優先課題としており、6月に最高裁大法廷が「同性愛嫌悪は人種差別法に含めるか」の投票を行った際も「含めるべき」との意見書を提出。賛成が過半数を超えた際に誉めたことなどでも、ボルソナロ氏の機嫌を損ねている。