連邦下院議会は7日未明、年金改革を中心とした社会保障制度改革の憲法改正案の2回目の採決を行い、定数の6割を上回る370票の賛成票を得て、基本となる文書を可決した(反対は124票)と、7日付現地各紙・サイトが報じている。
憲法改正案である本案は、下院定数513の6割以上である、308票の賛成が必要だった。7月10日に行われた1回目の採決では賛成票が379集まっており、今回は若干減少したが、それでも余裕をもっての承認となった。
政府は採決直前に、賛成議員へのお返しの意味で、30億4100万レの追加予算を認める法案を提出した。
ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は、1回目の採決時より賛成票が減ったことに関して、「誤差の範囲」と語った。採決前は「前回より15票ほど賛成が減るのでは」と語っていたオニキス・ロレンゾーニ官房長官も、「すばらしい結果」と顔をほころばせた。同官房長官は上院での手続きを9月末までに終えたいとしている。
2月に連邦政府が社会保障制度改革案を議会に提出後、下院憲政委員会(CCJ)と特別委員会での審議、2度の本会議採決と進んできた。修正動議の採決が終わった後は、上院CCJでの審議、2度の本会議採決へと続いていく。上院は定数が81人のため、必要な賛成票数は49だ。
これまでは年金負担年数が規定に達していれば年金受給に入れたため、50代、早ければ40代後半で年金を受け取る人が出ていたが、今回の改革では、受給開始の最低年齢が定められた。
通常のINSS年金は男性65歳、女性62歳で最低負担年数が15年。国家公務員は男性65歳、女性62歳で最低負担年数は25年。農村労働者は男性60歳、女性55歳で最低負担年数は15年。教師は男性60歳、女性57歳で最低負担年数は25年。連邦警察および連邦政府に雇用されている警察官は男女共に55歳、最低負担年数は男性30年、女性25年だ。
当初の政府案では、歳出削減規模は10年で1兆レアルを超えていたが、議員たちを説得する中で削減規模が縮小し、現状の歳出削減効果は10年で9335億レアルだ。修正動議の結果で、削減規模がさらに縮小する可能性もある。
採決は6日午後に始まり、日付をまたぐまで行われたが、7日午後からは修正動議(destaque)の審議・採決が行われた。
修正動議には、アボノ・サラリアルの支給条件を厳しくした部分を削ることを目的としたものや、遺族年金縮小を反故にさせるためのものなどが含まれており、いずれも支給額を上げたり、支給条件を緩やかにし、歳出削減規模を削ることを目的としている。
また、現在の改革案には地方公務員の年金改革は含まれていないが、上院では地方公務員も含める方向で、政府関係者や議員たちが動いている。