「ポスト工業化社会」(脱工業化社会)は、可能な限りのデータ共有、つまり、デジタル共有やデジタル連帯に基づく情報化社会のことをいう。
1960年代以降のように、情報に対する経済的・政治的・社会的な重要性が生じたことはなかった。1963年には、文化人類学者で歴史家の梅棹忠夫をして、先駆的に、ポスト工業化社会(脱工業化社会)は、サービス提供の複合的な拡大やエンターテイメント産業(スポーツ、文化及び娯楽)に欠かせない情報化社会であり、ゆえに知的創造や消費が評価されると言わせた。
日本経営情報開発協会(現日本情報経済社会推進協会)は1972年に、財務投資予想推計や情報社会の目標を付けて、「情報化社会プラン-2000年に向かっての国家目標」を提出した。
1972年当時、その数年後に市場に現われてくる様々なアイテムの作成が計画された。
例えば、ケーブル・テーブル、カー・ナビゲーション、サイト上での予約・購入・販売、通信教育、コンピューター化による汚染のコントロール、小企業のためのデータ管理センター、道路交通のコントロール、そしてそれらに適合するインフラ整備である。
オーディオ、ビジュアル、デジタルによる双方向のコミュニェーションを可能にするほか、大量の情報伝達能力を持つ光ファイバーを使用することによる情報システムを既に、予見していた。情報化社会プランは信じがたいことに、聞き手一方の視聴者から、ラジオ・テレビ・コンピューターの番組と関わりあう参加型視聴者への移行を提唱していたのである。
情報化社会の背後にはデジタル・マージナル化や社会経済格差が潜み、普遍的な情報へのアクセスを阻害・困難にし続けてはいるが、情報化社会は世界的な現実である(2003年、ジュネーブで開催された世界情報社会サミットでは、人権である)。増田米二の論に従えば、情報の発展において、4つの段階が完了した。つまり、科学分野の情報化、企業経営の情報化、社会を対象にした情報化、そして最後に個人の必要性を満たすための情報化である(原典情報社会―機会開発者の時代へ、リオデジャネイロ、1982年)。
情報化社会の出現は、経済の第4次産業や、コミュニケーション、教育、調査・開発、芸術や倫理産業など、一般的な意味で、情報と関係のある産業の革新を後押した。
情報化社会の経済システムは、自己決定を含め、自由の基本的価値を再確認し、さらに連帯意識(相乗作用もしくは共有)を一層評価している。このモデルでは、情報生産は構造的に有形財の生産とは異なっており、機器間のデータ共有に基づいている。この相乗作用は、モノのインターネット(IoT)として知られる、通信主体(スマートフォーン、ノートブックなど)に接続された機器間の相互作用で達成された。
情報化社会は、さら先へいった。人間と機械との大きな相互作用である。機器の性質または配置場所を考慮に入れた上で、機器が他の機器と共有するデータや機器所有者の関心あるデータから、人間とのより広範囲なコミュニケーションを可能とする知能が利用されている。
(著者=*サンパウロ大学(USP)教授、同大法学博士。FMU大学大学院情報化社会法コーディネーター・教授。サンパウロ・カトリック大学(PUCSP)国際法教授)