【既報関連】13日付で報じた、パラグアイとの間で結んだイタイプダムの電力に関する契約で浮上したブラジル企業「レーロス(Leros)」の代表として、社会自由党(PSL)の政治家、アレッシャンドレ・ジョルダーノ氏が、本人の証言とは違い、パラグアイに3度赴いていたことが明らかになった。14日付ブラジル国内紙が報じている。
この問題は19~22年の電力使用に関する両国の合意で、従来なら、事前に申告した量以上の電力が必要な場合、パラグアイの公社、全国電力管理会社(ANDE)が余剰電力を安く購入することができたが、今年の合意では、高い料金を払わねばならない申告分の電力量そのものを増やすことを強いられていた。
また、余剰電力に関する交渉は企業などの仲介者を入れずにできるよう定める項目が入っていたのに、それを定めた項目が合意寸前に削除されたため、ブラジルの政治家と繋がりがあるレーロスがブラジル向けの余剰電力の売買を独占することになり、その金額も高目に設定されていた。
このように、パラグアイには不利な契約であることが明らかになったとき、同国内は「電気代が高騰する」とパニックになり、大統領罷免の動きに発展した。また、ANDE元総裁のペドロ・フェレイラ氏らは、レーロスは「ボルソナロ一家やブラジル政府を代表して」交渉の席についたと語っており、合意作成時に同社の代表として参加したジョルダーノ氏の立場が疑問視されている。同氏は、上院政府リーダーのマジョール・オリンピオ上議(PSL)の補欠だ。
この件に関し、ジョルダーノ氏は「交渉の最終段階で、パラグアイのシウダ・デル・エステの会合にレーロスから呼ばれたから車でかけつけた」と語り、会合に出席したのは1度だけで、レーロスの代表的な立場ではないとしていた。
だが、パラグアイの大手紙ABCカラーは、ジョルダーノ氏が4月9日、6月25日にパラグアイで開かれた会合にも参加していたと報じている。4月と6月の移動は2度とも、レーロスの役員と弁護士と共に、乗組員2人が乗る小型ジェット機で行ったという。
また、エスタード紙によると、ジョルダーノ氏が所有する複数の企業の住所が、ボルソナロ大統領の三男エドゥアルド下議が支部長をつとめるPSLサンパウロ州支部と同じだったのに、スキャンダルが明らかになる直前に引き払っていたといい、この件に関するエドゥアルド氏の関与の疑惑もささやかれている。
レーロス社は今回の問題により、パラグアイの議会での議会調査委員会(CPI)の対象になっている。また、同社に関しては、リカルド・サレス現環境相がサンパウロ州環境局長だった時代に生じた疑惑に関与し、短期間に急成長した企業との過去も報じられはじめている。