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《ブラジル》美術館や博物館の観客増加=上半期は昨年比61%増

Maspでのタルジラ・ド・アマラル展の一こま(12日付G1サイトの記事の一部)

 ブラジルでは今年上半期の博物館、美術館の来館者が増えており、三つの博物・美術館では動員数の新記録も更新した。
 国内の主要博物・美術館40館の観客数を調べたところ、上半期は37館で来館者が増えたという。これら40館の来場者数の総数は過去4年間の平均より50%多く、昨年上半期と比べると61%増えたという。
 主要な博物・美術館での来館者増加は、連邦政府や州政府からの文化予算が凍結、削減される中で、文化や文化活動に関する議論が盛んになっている事、これまでは余り展示されなかった芸術家やグループの展示が増えた事、来館者がインスタグラムなどに写真を掲載する事でイベント開催がより広くアナウンスされた事、昨年の国立博物館の火災で博物館や美術館の存在がより強く認識されるようになった事、博物館が採用した教育、統合策が功を奏した事などの結果とされている。
 サンパウロ市のサンパウロ美術館(Masp)では、1~7月の来館者が53万3千人に達し、昨年の年間来館者数(50万2642人)はおろか、過去最高だった年間の来館者数(2012年の55万6534人)に迫る勢いだ。
 Maspの来館者急増は、タルジラ・ド・アマラルの展覧会が好評だった事が大きい。この展覧会には、同館会館以来となる40万2千人が来場し、入館までに数時間を要するほどの賑わいを見せた。また、同館が所有している作品の展覧会でも全般に、来館者増加の傾向が見られている。
 上半期の観客増が著しい博物館や美術館と増加率(昨年同期比)は、リオ市の国立美術館106%、リオ市の共和国博物館80%、Masp77%、ミナス州のインコンフィデンシア博物館49%、バイア州美術館33%となっている。
 バイア州美術館の来館者は、2015~19年の間に120%増えているが、同館では、様々な形の討論会や出会いの場もしつらえ、来館者増を試みているという。
 サンパウロ市のピナコテッカ博物館は昨年の下半期に、「ラディカルな女性」という題の展覧会を開き、国内では余り知られていないラ米の女性アーティストの作品を展示したりした。
 リオ州カーボ・フリオの宗教伝統芸術博物館では、2018~19年に解放奴隷のコミュニティ(キロンボーラ)の現実を伝える展示会を計画。黒人解放奴隷やその子孫の日常や仕事、文化を伝える展示は写真を中心としたもので、人種差別と社会統合についての問題提起も行われた。
 ただ、観客増加にも関わらず、博物館や美術館は常に、経営危機と直面している。それは、大きな展示だと、50万~100万レアルの経費がかかる上、小規模な地方の博物館はもちろん、規模の大きな博物館や美術館であっても、無料入館日や学校の生徒向けの活動など、収入増には繋がらない活動があるからだ。
 パラナ州クリチバ氏のオスカル・ニーマイヤー博物館のグラシー・イトウ氏によると、同館のプログラムも、ルアネー法などの文化支援法の援助がなければ到底維持できないという。(12日付G1サイトより)