ボルソナロ大統領からの圧力により、連邦国税庁のナンバー2にあたるジョアン・パウロ・ラモス・ファシャーダ副長官が解任された。だが、マルコス・シントラ同庁長官は、ボルソナロ一家に不利になりかねない案件を抱える担当役員らはそのまま残留させた。20日付現地紙が報じている。
ボルソナロ大統領が、長男フラヴィオ上議がリオ州議時代に雇った職員のファブリシオ・ケイロス氏に対する、他の幽霊職員(ラランジャ)による疑惑の振込みに対する捜査の封じ込めを目的として、連邦警察や金融活動管理審議会(Coaf)の人事に圧力をかけていたことは昨日付本紙で報じた。だが、大統領は「汚職対策」上の3本柱とされる、もう一つの重要な省庁、国税庁にも圧力をかけていた。
事の発端は、国税庁がフラヴィオ氏、ケイロス氏、並びに、実弟のレナト・ボルソナロ氏も捜査の対象としてリストにあげていたことだ。ボルソナロ氏は大統領就任当初から、国税庁に圧力をかけていたという。
国税庁内の人事に関する圧力は、家族や親族が捜査対象となっていることへのボルソナロ氏からの不満の声と、最高裁判事に関係のある人物の捜査情報が漏れたことで高まった。特に、リオ州イタグアイ港の税関責任者のジョゼ・アレックス・ノブレガ・デ・オリヴェイラ氏や、リオ州監督のマリオ・デホン氏に対する、ボルソナロ氏の関係者からの強い解任要求が表面化したことで急速に進展した。
イタグアイ港は、麻薬密輸だけでなく、リオ州のミリシア(犯罪者の民兵組織)による武器をはじめとする違法取引(密輸)の現場とも目されている。ボルソナロ一家はケイロス氏やフラヴィオ氏に関する疑惑が取り沙汰されはじめた頃から、ミリシアとのつながりを指摘されている。
オリヴェイラ氏は17日も同僚たちに、イタグアイ港での不正と汚職について、戦略的な立場での衝突があると語り、監査を邪魔するような政治的な外圧があることを示唆。デホン氏との会談も行った。オリヴェイラ氏は3週間ほど前にデホン氏から、イタグアイ港の税関人事で政界から圧力をかけられていると聞かされていた。
シントラ国税庁長官は19日、国税庁内では以前から使われていた、政治的な圧力を人事異動によって回避する方策を採用。税改革における国税庁のリーダー的存在でもあったが、ボルソナロ大統領の干渉に以前から反対していたファシャーダ副長官を解任し、表面上は大統領を喜ばせた。後任には、国税庁レシフェ支部監督のジョゼ・デ・アシス・フェラス・ネット氏が就任する。
シントラ長官は、ファシャーダ氏解任で当座の外圧を封じ込め、リオ州のオリヴェイラ氏やデホン氏を現職に留めただけでなく、他の副長官たちの集団辞任も回避したという。