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《ブラジル》国営銀行が新不動産融資システムを発表=インフレ変動型で低金利に=高インフレのリスク指摘も

ボルソナロ大統領(左)と、ギマランエスCaixa総裁(Isac Nobrega/PR)

 連邦貯蓄銀行(Caixa)は20日、ベース金利2・95~4・95%+広範囲消費者物価指数(公式インフレ率・IPCA)の新規不動産融資システムを発表した。20、21日付現地各紙・サイトが報じている。
 この融資の金利はIPCAと共に変動し、返済期間は30年まで選択できる。現状の不動産融資は、8・5~9・75%+参考金利(TR)だ。
 今日、各銀行は、TRがほぼゼロなため、ベースの8・5~9・75%とほぼ同じ金利を取っているが、新融資プランでは6・17~8・17%となる(今年7月末時点での直近1年累積IPCA3・22%を使用)。
 Caixaのペドロ・ギマランエス総裁は、「IPCA連動型の融資プランによって、低金利での融資を続けていきたい」と、新融資システム発表イベントで語った。イベントには、ボルソナロ大統領も臨席した。
 IPCAが今のような低水準のままなら新システムの方が有利だが、専門家は、「返済期間中にIPCAが変動するため、不利になることもある」としている。 
 ギマランエス総裁は、IPCA連動型にすれば、ベース金利を最大の4・95%としても、旧システムと比べて、債務総額は35%少なくなるとしている。また、Caixaに口座を持っており、債務返済履歴にも滞りがない顧客が利用できる、ベース金利2・95%の融資だと、債務総額は51%少なくなる。
 新融資システムは最大360カ月の月割りが効き、購入する不動産価格の80%までの借り入れができる。また、150万レアル未満の不動産を購入する際の住宅金融システム(SFH)や、150万レアル以上の物件向けの不動産金融システム(SFI)でも、新融資システムを利用できる。
 ブラジル中銀元ディレクターのルイス・フィゲイレド氏は、「新システムは不動産融資のあり方を他の国々に近づける道」としている。Caixaでは、新システムによって5万件の新規不動産契約が結ばれ、経済波及効果で、23万1千人の雇用も生まれると試算している。
 建設業界からも、「30年分割によって1回の支払い額が小さくなり、金利も下がれば、多くの人々が市場に入ってくる」と歓迎の声が出ているが、ブラジル貯蓄・不動産信用機関協会(Abecip)のジウベルト・ドゥアルテ会長は、「IPCA連動型融資には慎重さが必要だ。返済期間が長いため、インフレ高騰で負債総額が融資を受ける際の保証でもある不動産価格を超え、債務不履行者が続出する可能性を否定できない」としている。