ボルソナロ大統領は20日、かねてから物議を醸している三男エドゥアルド下議の駐米大使指名の件に関して、「場合によっては取り下げる可能性がある」との見解を示した。だが、当のエドゥアルド氏は大使就任に強い意欲を見せ続けている。21日付現地紙が報じている。
20日、ボルソナロ大統領は記者団に、「君が花婿だとして、処女だと思っていた花嫁が妊娠していたとしたら結婚を取りやめるだろう。いろんなことが起こり得る」との例え話をし、エドゥアルド氏の駐米大使指名に関して、初めて慎重な物言いを行った。
さらに、大統領は「息子にはじをかかせるわけにはいかない。彼には大使になるだけの力があると思うが、あらゆることが起こり得る」と語り、指名を取り下げることもほのめかした。
ボルソナロ大統領は現在も「縁故採用」との批判を一貫して否定し続けているが、エドゥアルド氏の駐米大使指名に関しては、上院の諮問機関が「大統領による縁故採用」と判断するなど、合法性への批判が根強い。
また、英語力も「上級者や流暢とは言えないレベル」との声も少なくなく、「外務省勤務者に求められる英語力」という技術的な面も疑問視されている。
そうしたこともあり、現在、エドゥアルド氏は、大使就任に必要な上院での賛成票獲得で苦戦している。大使に就任するためには、上院外交委員会での試問と承認後、「上院の過半数」、つまり81人中、41人以上の賛成が必要だ。
大統領の発言は、起こり得る上院での敗戦を危惧してのものともとらえられるが、当のエドゥアルド氏は「父とはその話はしていないが、引き下がるつもりはない。自信はある」と語っている。
連邦政府は、エドゥアルド氏の指名が上院で却下されないよう、当選ラインより5票多い46人の賛成が得られるよう、動いているという。
7月に指名の意向が示されながら、エドゥアルド氏の大使指名は遅れている。ボルソナロ大統領は、9月の前半までに上院で承認に必要な票が得られない場合は、10月の初旬に指名する方向で動こうとしている。それは、9月24日に始まる国連総会で大統領がスピーチを行う際、「息子が大使への指名を拒否された」などと言われて恥をかくのを避けたいからだという。
ボルソナロ氏と3人の息子は1991年以降、秘書などの名目で286人を採用してきたが、同家の職員は縁故採用が多かった。4日付コレイオサイトなどによると、長男フラヴィオ上議がリオ州議時代に採用したファブリシオ・ケイロス氏の場合、家族7人が誰かの職員だったなど、32家族、計102人が縁故採用されていたという。