【既報関連】法定アマゾンやカアチンガなど、ブラジル各地で違法な焼畑や延焼を含む森林火災(ケイマーダ)が急増(18日現在で昨年同期比82%増)し、健康被害や航空機などの運航停止といった影響も出ていると22、23日付現地紙、サイトが報じている。
森林火災の件数は20日現在で7万4155件と報告されていたが、21日には既に7万5300件を超えている。
ここ2週間の森林火災増加は、1~10日は120人だったロンドニア州ポルト・ヴェーリョの小児病院の対応数が、11~20日は380人に増えた事でも明らかだ。同州では肺炎などの呼吸器疾患の入院患者が3倍に達したという。
アクレ州でも今年の呼吸器疾患の患者への対応数は3万件を超えた。同州州都のリオ・ブランコでは、大気中の粉塵が1立方メートルあたり170マイクログラムに至った。世界保健機関は25マイクログラム以下を健全と定めている。
ブラジルの森林火災の半数余りは法定アマゾンで起きている。ブラジル国内では北部と中西部、隣国ではボリビア、パラグアイ、アルゼンチンで森林火災が多発している。
森林火災による健康被害は、灰や煤(すす)によるものと一酸化炭素によるものに大別される。
灰や煤は呼吸器から肺を経て血液にも至り、喉の痛みや咳、疲労感、頭痛、声のかすれ、息苦しさ、涙目、結膜炎をはじめ、鼻炎、喘息、気管支炎、慢性的な肺疾患、肺ガンまで引き起こす。一酸化炭素も呼吸困難や死を引き起こし得る。
森林火災と肺ガン発生の関係は、国内四つの研究機関が17年に発表した『アマゾンのバイオマス燃焼がヒトの肺細胞でDNA損傷と細胞死を引き起こす』という論文にもまとめられている。
また、森林火災による灰や煤が風により何千キロも運ばれる事は、サンパウロ市やサントス市で19日に起きた、日中なのに夜のように暗くなり、黒い雨が降るという現象でも確認された。サンパウロ市では18日も灰の成分が検出されていたという。
ロライマ州では先週、ポルト・ヴェーリョ空港発着便が煙で視界が利かなくなって運航を停止。マデイラ川の観光船も、水位低下と視界の悪さで座礁の危険があるとして、運航が停止された。
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