【既報関連】アマゾンでの森林伐採の増加と森林火災の拡大、ボルソナロ大統領の非政府団体(NGO)犯人発言への批判が、21日以降、世界的な話題となっている。連邦政府は当初、それに対して反発の意を示していたが、22日には緊急会議を行い、対策に向けて動きはじめた。23日付現地紙が報じている。
22日、世界の大手マスコミは大々的にアマゾンを中心とするブラジルの森林火災の拡大を報じ、国際的な環境対策を無視してアマゾンでの森林伐採を推進するボルソナロ政権を批判した。それは、米国のニューヨーク・タイムス、ワシントン・ポスト、英国のガーディアン、仏のル・モンドといった大手新聞から、米国のウォール・ストリート・ジャーナル、英国のエコノミストといった経済紙にまで及んでいる。
さらに、国連のアントニオ・グテーレス事務総長も22日、「極めて心配な事態だ。アマゾンは保護が必要だ」との声明を出した。
この状況に対し、フランスのマクロン大統領は22日、アマゾン問題について話し合うため、急きょ、「G7(米国、英国、フランス、ドイツ、日本、カナダ、イタリア)の首脳会談を行いたい」と呼びかけた。
マクロン大統領は以前から、気候変動抑制のための国際協定である「パリ協定」遵守を求め、守らない場合はEUと南米共同市場(メルコスル)との自由協定は結ばないとボルソナロ大統領に釘をさしていた。
こうした国際的な批判に対し、ボルソナロ政権は当初、反発を示した。大統領府安全保障室(GSI)長官のツイッターアカウントでは22日、同問題に関する声明が繰り返し発表されたが、最初は「誰が火をつけたのか」の犯人探しに終始。5回目になってやっと、火災対策に言及した。
オニキス・ロレンゾーニ官房長官も「欧州諸国が環境問題を使ってブラジルの農業生産や貿易に障壁を設けようとしている」とし、「なぜそんなにブラジルを苦しめたがるのか。それはブラジルが鉱物その他のコモディティの世界的な輸出国で動植物の生態的多様性を持つ国だからだろう」と皮肉った。
ボルソナロ大統領もツイッターでG7招集について「21世紀にもなって、帝国主義国が植民地を扱うかのようだ」と反発をした。
だが、国際世論の圧力は避けられず、ボルソナロ大統領は22日夜、大統領府に農務、国防、外務、環境関係の閣僚を集め、緊急対策会議を行って、森林被害を減らす対策などを討議した。同件の会議は翌日も続いた。
また、リカルド・サレス環境相も、政府機関や第3セクター(国や自治体と民間が合同出資・経営する企業や非営利の市民団体)、学究機関に民間団体を集めたアマゾン保護の団体創設に言及。「違法伐採や森林火災の監査、抑制と共に、森林の住民にも経済発展の恩恵を受けさせねば」とした。だが、「伐採が増加傾向にあるのは否定しないが、現政権のせいではない」とも語っている。