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《ブラジル政府》来年度予算の作成に苦心=更なる予算削減の可能性も

パウロ・ゲデス経済相(Marcelo Camargo/Ag. Brasil)

 来年度予算案の提出期限を目前に、ブラジル連邦政府は、今年既に行われた支出削減よりさらに大きな削減を強いられることになりそうだと、27日付現地各紙が報じている。
 特に、職員の人件費や年金などのように、義務的に払う必要がある経費を除いた、義務的ではない支出の削減幅が大きくなりそうだ。
 来年度の年間予算法(PLOA)は8月31日が提出期限で、すべての歳出を明確に記載する必要がある。経済スタッフはまだ、予算案を作成中だが、今年並みのコンティンジェンシープラン(予算不足の際にはここから削ると事前に発表したもの)を実行しても、まだ削減が必要だ。
 来年度予算編成の課題はまだある。それは、前テメル政権時の2016年12月に成立した歳出上限法の存在だ。これは、「基本的に、各部門の予算は、前年の予算からインフレ分以上に上げてはならない」というものだ。
 仮に経済活動が活発になって税収が増えたり、公社民営化などで歳入が増えても、その分の支出を増やすことは出来ない。
 今年の例では、政府の支出上限は1兆3400億レアルで、6月末までに47%が使われた。
 国庫庁の計算では、19年の義務的支出(人件費など、絶対に削りようがない支出)以外の支出は954億レアルで、支出全体の7・2%に過ぎない。言い換えると、削りようのない支出が9割以上あり、1割以下の部分を“やりくり”して、支出上限を超えないようにしているのが現状だ。
 ゲデス経済相は義務的支出を洗いなおし、削れるところはないか、義務的支出の一部を支出先を政府が選択できるように変更できないかを勘案している。
 今年度予算は、「基礎的財政収支赤字1390億レアル以内」の達成が基本的な課題だ。ただし、収支バランスをあわせるためならば、プレサル油田採掘権入札に伴う企業からの落札謝礼金などが一助になる。
 パウロ・ゲデス経済相は、国営銀行のCaixaやBNDESが、上半期分の株主配当金の50~60%を前払いすることを望んでいる。その金は財政目標達成のために使う予定だ。
 マンスエト・アルメイダ国庫担当局長は、「現在は大規模なコンティンジェンシープランが発表されている。今後、各省庁がどんな要求をしてくるか見てみよう。年末になって、『最低限の出費もまかなえない』と訴えてくる省庁が出てくる可能性もある」と語っている。
 国税庁などでは、CPF(個人用の所得税申告番号)の発行や、所得税還付金の支払いなどの最低限の業務を行うための予算さえ、数日中になくなる可能性がある。
 PLOAの提出期限は今月末。その後は、両院合同予算委員会での討議や議会承認、大統領裁可などの手続きが必要だ。