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《ブラジル》最高裁が初めてLJ判決覆す=元PB総裁の裁判やり直し=モロの裁判手続きが問題に=ルーラの判決などにも影響か

26日のモロ法相(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

 27日、最高裁の第2小法廷は、ペトロブラス(PB)元総裁のアウデミール・ベンジーネ氏のラヴァ・ジャット作戦(JL)での判決を覆した。LJの判決が最高裁で覆ったのは初めてで、ルーラ元大統領の実刑判決などを含め、「ヴァザ・ジャット問題」以降揺れ続けるセルジオ・モロ法相がLJ判事時代に下した判決が今後覆される可能性が出てきたと、28日付現地紙が報じている。

 ベンジーネ氏は2015年にペトロブラス総裁に就任したが、オデブレヒト関係者が司法取引で「就任後にオデブレヒト社から300万レアルの収賄を受けた」、「(2009~15年のブラジル銀行総裁時代にも)同社に対する融資承認の見返りに1700万レアルの賄賂を求めた」と供述したため、2017年6月に逮捕された。
 同氏の裁判は当時パラナ州連邦地裁判事だったモロ氏が担当し、18年3月に収賄と資金洗浄の容疑で11年の実刑判決が下った。
 だが、19年4月に最高裁の判断で同氏は釈放された。また、同年6月には第4地域裁が、刑期を7年9カ月10日に減じた上、罰金25万レアルを言い渡した。
 今回の最高裁判断は、ベンジーネ氏の弁護人の「1審裁判の最終段階で被告に認められた最終請求の時間が、報奨付供述を行った被告に与えられた時間と同じだったのは裁判の手続き上、おかしい」との訴えが認められた形だ。
 最高裁のLJ担当で、報告官をつとめたエジソン・ファキン判事は判決の正当性を主張したが、リカルド・レヴァンドウスキー、ジウマール・メンデス、カルメン・ルシアの3判事が裁判手続き上の不備を支持し、3対1で、1審判決が無効となった。
 これにより同裁判は、「1審からやりなおし」ということになった。
 これはLJの判決が初めて最高裁で逆転した瞬間であり、モロ氏の敗北を意味するものだ。
 モロ氏は、6月9日からはじまった「ジ・インターセプト・ブラジル」による、携帯電話のハッキングデータの暴露により、「検察のLJ特捜班と緊密に連絡をとりあい、判事の領域を超えて検察を指揮するような間柄にあった」「証拠不十分であることを自覚ながら、自身の判断を強行した」「特定の政治家の捜査や報奨付供述を嫌った」などの疑惑が次々と浮上。また、ハッキング犯の逮捕に際して、電話の記録を消すことを命じたことで、批判の矢面に立たされている。
 これにより、これまでのLJでのモロ氏の判断が怪しまれるようになっていたが、今回の判決逆転で、今後、ルーラ氏が実刑を受ける契機となったサンパウロ州グアルジャーの高級住宅を介した収賄容疑の判決など、ほかの事例まで覆る可能性が出てきている。