25日、雪だるま除幕式の後、JH館内ではこのプロジェクトについて、メンバーを代表して内藤貴之さんが経緯を説明した。道人ブラジル¥移住100周年に向け、昨年4月に始動。雪だるまの輸送方法、時期などについて何度も会議を重ねたそう。
しかし同年9月6日、北海道胆振東部地震が発生。同町でも震度6強を観測し、建物や道路の損壊、土砂崩れもあり、多くの町民が一時避難所へ移動し、インフラが不足する生活を強いられたという。現在も中学生が仮設学校に通うなど、町に大きな影響を残している。
ブラジル側ではすぐに支援に乗り出し、同年10月に「北海道安平町震災支援イベント」を開催。募金を呼びかけ、焼きイカやニシンを販売。集まった義援金と販売収益を合わせ、約180万円を同町へ贈った。
ブラジル道人の温かい応援を受け、生紀さんを中心にプロジェクトを再始動した。クラウドファンディングでも約65万円の寄付を受け、プロジェクト実現に至った。
前回の雪だるま来伯の際に安平町長を務めていた瀧(たき)孝さんは、体調を崩して今回の来伯がかなわなかった生紀さんに「帰国後にブラジルの子どもらの喜ぶ姿を伝えたら感激することだろう」と話し、「昨年の震災は大変だったが、ブラジルから道人が温かい支援を送ってくれ、同郷の我々を思うブラジル道人の深い愛情に心を打たれた」と振り返った。
郵生さんは「震災の影響でプロジェクトが一度は頓挫したが、ブラジルから支援を受け、父(生紀さん)に『11年前に、100周年の時にまた持ってくるとブラジルの道人に誓った。皆楽しみに待っているんだ』と聞かされ、自分もプロジェクトを成功させようと奮い立った」と経緯を明かした。
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8月25日にJHで開催され、大好評のうちに幕を閉じた巨大雪だるま展示会。だが準備の際には不測の事態が起きた。雪だるまは展示前日の夜にサンパウロ州バルエリの冷凍倉庫から冷凍トラックで運び出され、当日午前1時頃サンパウロ市に到着。到着後、雪だるまをトラックから降ろし、雪だるまを保護している型から取り出す作業が行われた。その際に、フォークリフトを用意する業者がなぜか来ていなかった。田尻さんがその業者に連絡を取ったが反応がない。そこで急きょトラックを出した運送会社へ出向き、そこのフォークリフトを借りてきて難をしのいだそう。最終的に展示会は開幕したが、雪だるまだけに、肝を冷やす出来事だったとか。