オニキス・ロレンゾーニ官房長官と軍高官が、歳出上限法の緩和を求めて動いていると、4日付現地紙が報じた。
テメル政権時代に憲法改正の形で成立した歳出上限法は、「政府や各省庁の予算は、基本的に、前年度予算にインフレ率をかけた以上に拡大できない」というものだ。
この問題は、旧経済三部会、現在は経済相と官房長官の2人が参加する予算編成会議(JEO)の場で議題に上がった。
現地紙は、ロレンゾーニ官房長官が議員たちとの会合後に「議員たちは同法の緩和を支持するだろう」と発言したことを確認し、本人に真意を聞いたが、官房長官は、「自分の意見ではなく、自分が会った議員たちの意見だ」と語った。
パウロ・ゲデス経済相は、歳出上限法があるから、それを盾に政府は賃上げ要求などをはねつけることができるとしており、歳出上限法の緩和に反対だ。
歳出上限法が成立する前は、税収が増えたり、公社民営化や国有資産の売却が達成されたりして歳入が増えるたびに、各省庁やそのバックについている政党による増収分の“奪い合い”が発生し、国家財政の健全化にはつながっていなかった。歳出上限法が出来たことで、歳入が増えたか否かに関係なく、予算は昨年分にインフレ率をかけた分以上に増やせなくなった。
8月末に出された来年度予算案でも、支出の9割以上は「義務的支出」で、「裁量支出」は1割にも満たなかった。「歳出上限法や社会保障改革などで義務的支出を抑え、裁量支出の割合を増やして、インフラや、医療、教育部門改善のための投資や、各種政策に回せる金の比率を高めていく」が政府の基本的な考え方だ。ボルソナロ大統領も1日、「財政健全化を達成できないと、2022年の再選に障りがある」との認識を示した。
ただし、今回のJEOは歳出上限法の見直しではなく、義務的支出を洗い出し、その一部を削ることで裁量支出を増やせないか? という方向に議論が進んだ。経済政策班は、義務的支出から100~200億レアルほどを削り、裁量支出に回すことを狙っている。
歳出上限法の規定を緩和しながら国の債務も減らすためには、国内総生産(GDP)を上げて税収を増やす、税率そのものを引き上げる、新税の設立などにより、歳入額を増やさなければならない。増税は極めて微妙なテーマのため、ゲデス経済相はどの立場をとるかを明言しなかった。
また、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)も歳出上限法の緩和には反対で、行政改革を行い、支出のスリム化を目指すべきとの立場を表明している。