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《ブラジル》5613件の奨学金打ち切り=連邦政府の財政難の影響で

 教育省が2日、ハイレベル人材養成業務統括所(Capes)が支給する大学院生や院卒業者向けの奨学金5613件を今月から打ち切ると発表したと、2~5日付現地各紙・サイトが報じている。Capesは教育省傘下で、修士課程や博士課程在籍者や、博士課程後の研究促進を目的として活動する機関だ。
 今年上半期には6198件の奨学金が打ち切られており、今回発表分とあわせると1万1811件が打ち切られた計算になる。これは、Capesが支給する奨学金全体の5・57%に当たる。
 アンデルソン・コレア所長によると、今年の予算は42億5千万レアルで、その内の8億1900万レアルが既に凍結されたという。今回の決定は、今後4年間で投資されるはずの資金が最大5億4400万レアル凍結されることも意味する。
 Capesは、大学院生だけでなく、基礎教育課程の教師への奨学金も支給してるが、この部分は凍結されていない。
 教育省高官のアントニオ・ヴォジェル氏は「とても心配だ。解決策を見つけるため、政府とも連絡を取り合い、様々な案を検討中」と語ったが、具体案は示さなかった。
 ヴォジェル氏は、新たな奨学金削減は、現在奨学金を受けている学生への支給を続けるための苦肉の策だとも語った。
 5日付地元紙は、修士課程で行った、ジカ熱を引き起こすウィルスの研究を継続するためにリオ連邦大学(UFRJ)博士課程に進み、月2200レアルの奨学金を受け取るはずだったガブリエラ・ピニェイロさん(25)の、「ブラジルの医療改善のためにとても重要な研究をするはずだったのに、奨学金を切られた。どうしたらよいか分からない」との言葉を紹介している。