ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》次期検察庁長官候補のアラス氏に司法保守派が接近=早くも要望つきつける=連邦検察官はなおも反発

《ブラジル》次期検察庁長官候補のアラス氏に司法保守派が接近=早くも要望つきつける=連邦検察官はなおも反発

アラス氏(Roberto Jayme/TSE)

 ボルソナロ大統領が次期連邦検察庁長官に指名したアウグスト・アラス氏が、福音派の法律家たちが提出した要請を尊重する意向を表明したが、連邦検察官らはアラス氏指名に強く抗議する行動に出ていると、10日付現地紙が報じている。
 エスタード紙によると、アラス氏は全国福音派法律家協会(ANAJURE)が提出した要請を尊重する意向を示した唯一の候補だという。ANAJUREは、福音派の弁護士や判事、検察官ら、約700人からなる保守派の団体だ。
 ボルソナロ大統領は2020年に起こるとみられている、同大統領による最高裁判事の指名時に福音派の判事を指名することに強い意欲を示している。
 ANAJUREが提出した要請書は10ページほどで、同団体の価値観が示されている。
 同団体の要請の中には、「同性愛婚」や「妊娠中絶」など、福音派がかねてから強い抵抗を示す性的な問題や、信教の自由、ボルソナロ大統領がかねてから連邦議会で通過させたがっている、学校で政治的な教育をさせないプロジェクト「政党なき学校」などが含まれている。
 アラス氏は同性愛などには強い嫌悪感を示しているとされるが、元は左翼支持者だ。
 また、要請書は、「汚職撲滅」も強く訴えてもいるが、それを主導するのはあくまで「組織」であり、「個人」が主導するものではないとの見解も示している。
 アラス氏は「ラヴァ・ジャット作戦」にかねてから懐疑的な発言を行っていることで知られているが、「組織主体」との見解では、ANAJUREと一致している。
 6月に始まった「ヴァザ・ジャット」報道では、ラヴァ・ジャット作戦において、セルジオ・モロ法相やデウタン・ダラグノル主任の個人主導的な行動が暴露され、問題となっていた。
 ANAJUREによると、アラス氏は「自分は保守派であり、要請書にある主張にも基本的に同意する」との意向を表明しているという。
 一方、連邦検察官たちは、かねてから報じられているように、ボルソナロ大統領が、検察庁内の選挙で選ばれた3人の候補のリスト(トリプリセ)から長官を指名しなかったことを不服としている。9日には検察庁サンパウロ州支部の前にリーダークラスの検察官が集まり、「トリプリセは連邦検察庁の独立性の証だ。トリプリセを尊重せよ」と抗議した。アラス氏に対する上院憲政委員会での試問会(サバチーナ)は約2週間後の予定で、同氏も上議を訪問しはじめたが、検察官たちは徹底抗戦の構えを見せている。