「日本の番組が急に観られなくなった」との苦情が、今週始め相次いで編集部に寄せられた。聞けば、相談者らはJ―Vision社の提供するインターネットテレビ視聴システム「WILLフォン」を利用している。J―Vision社の親会社である情報通信業者WILL株式会社(東京本社)が、日本の消費者庁より7月19日付けで特定商取引法に基づく2度目の「業務停止命令」を受けていたことが関係しているようだ。
WILL社はサンパウロ市で、2017年には橋幸夫、18年には美川憲一など大物歌手のコンサートを続々と主催し、「WILLフォン」契約者に優先的にチケット販売を行うなどの商法で利用者を増やしていた。
6月にも数日間「46チャンネル見られるはずなのに、17までしか見られなくなった」という状態になったWILLフォン。今回、視聴不能になったのは一部地域の視聴者だけだが、「アメリカの利用者にも今週2日間観られなくなった人がいた」との話も届いている。
日本消費経済新聞は「WILL問題特設ページ」(http://web.nc-news.com/index.php?page_id=142&_layoutmode=on)を開設し、継続的に続報を流している。今回視聴不能になった原因は、WILL社が日本の消費者庁より7月19日付けで特定商取引法に基づく「24カ月の業務停止命令」を受け、テレビ視聴システム運営に必要な回線代金やサーバー代金の支払いを一部行えなくなったためとの説が同業者の間で流れている。
WILL社は、昨年12月にも消費者庁から15カ月間の連鎖販売取引に係る取引の一部等停止、大倉満会長、中井良昇代表取締役らには業務禁止命令が下されていた。今回は24カ月の業務停止命令であり、さらに厳しくなっている。
サンパウロ市リベルダーデ区ガルボン・ブエノ街412番にあったJ―Vision社事務所は、現在閉鎖状態。何か問題が起きても説明する人員や連絡先は置かれていない。
今回、WILL社に業務停止命令が出された理由は、「持続可能性のないビジネスモデル」(消費者庁)を基に消費者から投資を募り、将来的に破綻、大規模な消費者被害が発生する可能性が高いことから。消費者庁が24カ月の業務停止を命じるのは初めてで、特商法で可能な最長の業務停止期間となる。
本紙では、WILL東京本社に対し、ブラジルの利用者への事情説明、現地問い合わせ先などを質問しているが、12日午後5時現在で返答はない。連絡があり次第、続報を伝える。