【既報関連】法定アマゾン9州での森林伐採とそれに伴う森林火災の急増が国内外で注目の的となる中、13日にブラジリアで、域内の知事や副知事とノルウェーやドイツ、英国の大使との会合が開かれたと同日付現地誌サイトが報じた。
ノルウェーとドイツはアマゾンの森林伐採撲滅と持続可能な開発のためのアマゾン基金の主要出資者で、09~18年に集まった資金34億レアルの内、93・8%はノルウェー、5・7%はドイツが寄付。残りの0・5%はペトロブラスが出資していた。
だが、ボルソナロ政権は同基金を域内の州政府や環境団体などに回す事を停止。資金運用の見直しや、森林保護などへの資金を所有地に環境保護区のある地主への賠償金支払などに利用する事などを提案していた。
この間は、伐採監視などを行う連邦機関にさえ資金が回らず、森林伐採が急増し、火災も多発。これを受け、ドイツとノルウェーは8月に基金への拠金を差し止めた。
アマゾン対策への批判は国内外で高まり、主要7カ国(G7)首脳会議が火災対策への資金提供を申し出たが、ボルソナロ政権は拒否。だが、域内の知事や農牧族議員からも対策を望む声が高まり、連邦政府が8月24日に火災対策を発表。その後に申し出た英国の資金提供は受け入れた。
ボルソナロ大統領はG7やノルウェー、ドイツの支援は、ブラジルのものであるアマゾンを食い物にしようとしている証拠との見方を示していた。だが、英国大使は13日、アマゾンがブラジルの主権下にある事を認めた上、環境問題は世界的な問題だから国際社会も関心を示すのであり、会合に参加した3国は皆、同じヴィジョンを持っていると説明した。大使達は、ブラジル政府や州政府が現状をどのように認識し、どんな方法で解決しようとしているのか、そのためにどんな支援が出来るのかを知りたいとしている。
今回の会合の焦点は法定アマゾンでの森林伐採や森林火災だが、ブラジルでの森林火災は全国的なもので、12日には、世界最大級の熱帯性湿地で世界遺産にも登録されているパンタナルでも、11日現在の森林火災が334%増の4515件に達したと発表された。マット・グロッソ州と南マット・グロッソ州は同日、緊急事態を宣言した。
11日現在の森林火災は、法定アマゾン49・6%、セラード33%、大西洋岸森林9・7%、パンタナル4・1%、カアチンガ2・8%、パンパ0・9%だ。8月20日現在の法定アマゾンの比率は52・5%だったから、軍なども導入した火災対策の効果は出てきたようだが、焼失した森林の回復には時間がかかる。監視活動などの予防策に資金を割かなかった事によるつけは大きい。