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《ブラジル》「古い政治に決別」はどこへ?=政党と政府間の裏取引活発化=ネット発言まで監視の政府

大統領府秘書室長官就任式のルイス・エドゥアルド・ラモス氏(左)と、ボルソナロ大統領(Antonio Cruz/Ag. Brasil)

 「古い政治との決別」「トマ・ラ・ダ・カー(政局調整のための裏取引)は止める」と主張して当選したボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)だが、議会内に支持基盤がないため、連邦政府の方針や政策に賛同するか否かで、議員割当金(エメンダ)の支払いの可否や公職の配分を決める事にしたと、14日付現地紙が報じた。
 「政府は、議会内での投票行動だけでなく、各議員のインターネット上や実際の発言も監視しており、政府の方針に沿った発言をしている議員たちのエメンダの申請はかなえられる」と現地紙は報じた。エメンダの支払い額は最大20億レアルに及び、予算凍結を解くと発表された150億レアル分から支出される。
 特に上院では、社会保障制度改革のための憲法補足法案(PEC)や、並行PEC、大統領の三男エドゥアルド下議(PSL)の米国大使就任などへの承認票を得る必要があり、議員たちに足元を見られやすい状況が生じている。
 現地紙が大統領に近い立場の上院議員2人に聞いたところによると、エドゥアルド氏の米国大使就任に必要な賛成票はまだ集まっていない。
 政府の経済政策班はここ2週間ほどの間に、社会保障制度改革のPEC承認のための交渉で認めたエメンダの支払いのために、予算の一部の凍結を解除する見込みだが、政府はエメンダの支払いを、「大統領三男のワシントン栄転」への賛成票の取引材料にしようとしている。
 大統領の長男フラビオ上議(PSL)は陰に陽に弟のエドゥアルド氏の米国大使就任にむけて動いており、最近では、ある上議の私邸での夕食にエドゥアルド氏を連れて行き、大使就任後のプランを披露させた。
 下院議員らは既に政府から、「インターネット上の発言は全てチェックされており、たてついたらエメンダを支払わない」と通知されている。インターネット上の発言のチェックには、大統領の次男のカルロス氏も参加している。
 議会との政局調整役のルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官は先週、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)を始め、各政党幹部クラス、パラナ州選出議員たちに至るまで、様々な会合に出席した。
 同長官は議員たちに、マスコミが騒ぐから公然とエメンダを要求しないでくれと要請している。また、インターネットで大統領を批判したらエメンダはもらえないのかとの質問には、「政府の方針に賛成なのか、反対なのかは、議員の中で一貫していると考えている」と答えている。
 だが、役職を巡っては、政党ポデモスの議員から、「ある開発公社の総裁職をDEMに与えたのはずるい」などと言った声も公然と発せられている。ポデモス下院リーダーのジョゼ・ネウト下議などは、「政局調整は新たな段階に入った。気のあるそぶりではなく、実利が必要」と本音を隠さなくなっている。