ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の重要被告で建設大手OAS社元社長のレオ・ピニェイロ氏の報奨付供述(以下、デラソン)が今月、最高裁で承認された。同氏はデラソンで、同社が受注した中南米諸国での建設事業でルーラ元大統領(労働者党・PT)の影響力が強く行使されたと発言していたという。14、16日付フォーリャ紙が報じている。
ピニェイロ氏は、ルーラ元大統領が有罪で実刑を受けることとなったサンパウロ州グアルジャーの高級住宅を介した収賄容疑で、「贈賄を行った」と告白したことで有名だ。
同氏は2014年11月に逮捕され、15年に人身保護令が適用されたが、16年9月に再び身柄を拘束された。既に5件の裁判で有罪になっており、15年に司法取引締結を試みたが、正式な司法取引が成立しないまま、17年から具体的な供述をはじめた。ファキン判事は供述の一部をお蔵入りさせたが、デラソンが承認されたことで、弁護側は「せめて自宅軟禁を」と減刑を望んでいるという。
同氏の供述の具体的な内容は14日付フォーリャ紙が掲載している。それによると、ルーラ氏は、ボリビア、コスタリカ、チリでのOAS社の事業受注に強い影響力を持っていたという。
ボリビアでの事業は、2003年にケイロス・ガルヴォンが工事を開始したポトシー~タリハ間の国道建設で、エヴォ・モラレス政権との間で問題が起きて破談。OAS社は、修復工事を行う代わりに別の区間の国道建設を落札。新区間の工事は2009年にはじまったが、ジウマ政権になってから社会経済開発銀行が融資を停止したため、ボリビアが契約を破棄。機材引き上げなどには、ルーラ氏の鶴の一声が必要だったという。
新たに建設していた国道は総長340キロ、建設費は2億2600万ドルに膨れ上がっていた。同国の上院議員の一人はこの件を問題視し、現在も詳細な報告を求め続けているという。
コスタリカではOASがルーラ氏に20万ドルを払い、ノーベル平和賞受賞者のオスカル・アリアス同国元大統領との会談を仲介してもらったという。ルーラ氏はこの時、公共事業の実施と工事後の運営権の交渉で、ラウラ・チンチージャ大統領(当時)との間の仲介役も行っておリ、同社が契約を勝ち取った。
チリでは、13年に成立した同国南部の橋建設の契約を政権交代によって失わないよう、ルーラ氏に仲介を頼んだ。ルーラ氏は14年に大統領に就任したミチェレ・バチェレ氏の党、チリ社会党のリカルド・ラゴス大統領(当時)と話をし、契約継続の確約を得た。
大統領選は既に終っていたが、OAS社はその見返りに虚偽の事業契約を結び、バチェレ氏に1億1600万チリ・ペソ(40万レアル)の不正献金を行ったという。これに関しては、チリ側は合法だと主張している。
今回承認されたデラソンには、サンパウロ州での公共事業での民主社会党(PSDB)の汚職疑惑も含まれているという。