ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》選挙資金問題=下院案を上院が大幅修正=世論に逆行、反発おそれて=どうする下院、10月頭が期限

《ブラジル》選挙資金問題=下院案を上院が大幅修正=世論に逆行、反発おそれて=どうする下院、10月頭が期限

上院報告官のウェベルトン・ロッシャ上議(Fabio Rodrigues Pozzebom/Ag. Brasil)

 来年10月の統一地方選で必要となる選挙資金の扱いを巡って、下院と上院の間で真逆の判断が出た。今月4日に下院でスピード承認されていた、選挙資金の利用管理を甘くする法案(PL5029/19)は、大きく変更された形での上院承認となったと、17、18日付現地各紙・サイトが報じている。

 18日付ブラジル紙は、「選挙資金使用の申告方法として、いかなる電子決済も認める」「選挙助成金の用途として、政党に所属していない人の航空券代金も認める」「選挙違反が成立するには、立候補者、もしくは政党幹部が犯罪性を認識していたこと、故意だったことが証明されなくてはならない」「会計監査役、弁護士雇用費用は選挙費上限の対象外とする」などを下院案の問題点として指摘した。
 この下院案に対して「カイシャ・ドイス(闇会計)を容易にする」「選挙違反で罰せられる可能性が低くなる」「選挙助成金の扱いが不透明になり、監査が難しくなる」などの批判が向けられていた。
 上院には下院案をそのまま承認したい勢力もいた。上下両院議長を擁する民主党(DEM)もその一つ。だが世論の反発を受け、下院案を大きく変更して承認した。
 上院で承認された案に残ったのは実質、「来年の統一地方選に使える選挙助成金は、昨年の大統領・知事選挙の時と同じく、17億1千万レアルとする」だけだ。
 18日付ブラジル紙は、「17日には、汚職や違反に甘い下院案の一部を残せないかと、上院議員の一部がボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)に働きかけたが、成功しなかった。上院各政党のリーダーは、世論の反発を恐れて下院案大幅変更に傾いた」と報じている。
 「下院案は酷いものだった。下院議員たちがこれを教訓にしてくれることを願う。上院は下院の下請けではない」と、上院憲政委員会(CCJ)のシモーネ・タベ委員長(民主運動・MDB)は語った。
 9月3日から4日にかけての下院採決で党として賛成したのは、PSL、MDB、民主社会党(PSDB)から、左派の労働者党(PT)、共産党(PCdoB)まで15政党に上った。
 上院で大幅な変更が加えられたため、 PL5029/19は下院で再審議に入り、その後、大統領の裁可、もしくは拒否権行使となる。
 18日朝のTVニュースに出演したジャーナリストのジェルソン・カマロッチ氏は、「まだ下院案復活の可能性も残っている。議員たちは、国民を敵に回しても“旨み”をとるか、国民の反発を招くくらいなら上院案を通すかと思案しているようだ」と語った。
  来年の統一地方選挙は10月4日だから、その1年前までにこの法案が裁可されないと、来年の選挙では有効にならない。