ブラジルでは今月中旬から、退職金(正式には勤続期間保障基金・FGTS)用に積み立てた資金の退職前払い戻し措置が開始された。
これは退職金の積立金を退職前に払い戻すことで、消費を促し、景気浮揚につなげることを目的とした政策だ。
しかし、こうした政策が行われると、必ず発生するのは詐欺行為。
奇知にとんだブラジル人気質が悪い方向に発揮され、詐欺の手段も多種多様だ。
そんな中、現地マスコミは、詐欺被害に遭わないための啓発活動を行っている。
ブラジル国内のヴァーチャル空間・プライバシー保護関連企業のエミリオ・シモーニ部長によると、FGTS払い出しが開始された9月だけで、20もの偽ウェブサイトが開設されたという。
こうした偽サイトは、インスタグラムやフェイスブック、ブラジルで人気のメッセージアプリ、ワッツアップなどで拡散されている。
罠にかからないための基本事項として、FGTS扱い銀行であるCAIXAの名が付いたリンクを迂闊にクリックしないことや、クリック先のサイトなどに、納税者番号や住所、口座番号、CAIXA顧客カードの番号やパスワードなどの個人情報を入力しないことが重要だ。
引き出し開始日には、銀行窓口や現金の自動支払機前に列ができるが、詐欺師たちはCAIXA職員を装って接触。行列を避けるため、銀行に来る日時を指定することを勧めることもある。
これは、“サイジーニャ・デ・バンコ”と呼ばれる、ブラジルでは古典的な犯罪手口の焼き直しだ。通常は、自動支払機や窓口で金を引き出した人を追いかけたり、待ち伏せたりして金を奪うが、FGTSの払い戻しに来た人に接触する人物は、指定された日時に金を受け取り(引き出し)に来た人を待ち伏せ、その金を奪おうと考えている。(19日付アゴーラ紙より)