原田清法学士の呼びかけで13日、サンパウロ市の同氏事務所内(Rua Domingos de Morais, 2781, no. 608)に「ブラジル行政・財政・租税法研究所」(IBEDAFT)が創立された。呼びかけの趣旨に賛同する有名な法律家ら50人以上が全伯から集まって創立総会が行われ、今後4年間の所長として原田氏が選出された。
原田氏は設立経緯を次のように説明した。「以前から親しかったマルコス・シントラ国税庁長官と共にここ数カ月間、税制改革の政府案作成に関わっていた。だが、シントラ氏が11日に突然、大統領から長官を解任された。連邦下院議会で論議されている主な税制改革案三つはどれも内容が良くない。州税、市税を連邦税に一本化するような中央集権的な法案ばかり。その動きに意見をする機関が必要だと思い、全伯の法律家に呼びかけて設立を準備してきた」。
シントラ国税庁長官は税制簡素化のために、連邦議員からの反発が強いCPMF(通称小切手税)の税制改革案への導入を以前から強く主張してきた。その姿勢が議員から嫌われて圧力が高まり、手術入院中で大統領職も休職中だったにも関わらず、ボルソナロ氏は突然、解任を発表したといわれる。
創立メンバーの中には元最高裁判事のシジネイ・サンシェス氏、連邦高等裁判所元判事の上田雅三氏、ウンベルト・アヴィラUSP教授、パライバ総合大学のエドアルド・メデイロス教授、ブラジリア総合大学のマルクス・カルデイラ教授、サンパウロPUC大学のアントニオ・ロッキ・カレッザ教授ら法学界の錚々たるメンバーが並んでいる。
原田氏は「税制を論議する時には、租税法だけ詳しくてもダメ。それが行政上でどんな効果を発揮するのか、政府の財政がどうなるのかという観点もしっかり見極めて、総合的に判断していかないと、ちゃんとした税制改革にはならない。シントラ氏はそれをしっかり考えてプランを練っていた。それがいきなり解任されてとてもショックだ。政府案を提案しないで下院案に任せる政府など、無責任きわまりない。下院案は浅い考えばかり。誰も国の将来を心配せず、自分の名前を歴史に残すことしか考えてないように見える。私の見通しでは、今年中に税制改革が承認されることはない」と説明した。
さらに「これは金儲けでやるのではない。ブラジルという国の将来を憂う法律家50人の集まりだ。ただの勉強会でもない。ブラジルを良くするための意見を積極的に発信するために、全伯で3分野に関わる専門定期刊行物を刊行、討論会、セミナー、シンポジウムなども開催していくつもり」と意気込んだ。
創立総会のあと、メンバー全員に記念メダルが授与され、カクテルパーティで和やかに意見交換をした。