中欧オーストリアの国民議会が、欧州連合(EU)と南米南部共同市場(メルコスル)との間で結ばれた自由貿易協定合意に反対する決議案を承認したと、20日付ブラジル紙が報じた。
オーストリア政府に対し、EUの方針に反対することを義務付ける決議案は、EU関連の問題を検討する委員会に提出されたものだが、この委員会の決議は本会議での承認を必要としないため、実質的に議会での承認と同じ効力を持つ。この決議は29日の総選挙の直前に行われた。
この結果はブリュッセル(ベルギー)のEU本部で交渉に当たっていたブラジル代表団を驚かせたが、ブラジル側は、オーストリアの判断も今後数カ月で変わる可能性があると構えている。
今回の結果で一際目を引いたのは、少数勢力のNEOSを除く殆どの政党がメルコスールとの自由貿易協定締結交渉に反対の立場をとったことだ。議員たちからは、反対の理由として、「ブラジルがアマゾン火災の収束に本腰をいれていない」との声が聞かれた。
オーストリアの持続可能・観光大臣のマリア・パテック氏は、「環境問題に関する世界共通の基準をブラジルが守ろうとしていないことに対し、EUが明確な態度を示す必要がある」と語った。
EU議会商業委員会委員長のベルン・ランゲ氏(オーストリア人)は、ブラジルやアマゾン火災の言葉こそ使わなかったものの、「熱帯雨林は一つの貿易協定よりも重要。だからこそ、圧力でボルソナロ大統領を止めなくてはならない」と語った。