【既報関連】17、18日に行われたブラジル中銀の通貨政策委員会(Copom)において、経済基本金利(Selic)が、史上最低値更新となる5・5%に変更されたことで、借金や投資についての方針変更が求められていると、19、20日付地元紙が報じた。
Selic低下で考えられるものの一つはローン金利の低下だ。
債務不履行が多いことやセキュリティ費用の高さのため、Selicが約3年間で14・25%から5・5%に下がったほど急激なペースでは、ローン金利は下がっていないが、「ローンの組み換えを検討するには良いタイミング」と、ブラジル・ファイナンシャルプランナー(FP)協会所属FPのレアンドロ・ロイオラ氏は語る。
投資に関して識者が口を揃えるのは、「長期的視野に立った投資計画が必要」という点だ。
ブラジルには、農業信用証券(LCA)や不動産信用証券(LCI)、銀行預金証券(CDB)や銀行間預金証券(CDI)など、多くの投資手法があるが、Selicの低下により、短期的リターン(収益)はかなり少なくなった。
こうした投資も、5年以上現金化せずに運用すれば、まだまだリターンが期待できる。ただし、その場合、急場で必要な資金まで使ってはならない。3~6カ月分の生活費は必要なときにすぐ引き出せる預け方にしておくよう、識者は勧める。
また、投資に関して保守的な人々が好む貯蓄預金(ポウパンサ)の利率はSelicの7割で、Selicが5・5%なら、ポウパンサの利率は3・85%だ。これは、ブラジル中銀が出している今年のインフレ予測の3・6%よりは若干ましといった程度だが、短中期の貯蓄方法としては適切だ。
また、貯蓄預金よりはリターンが見込め、リスクもそれほど高くない手法には、国債がある。
国債にはSelic連動型、インフレ率(IPCA)連動型、利率固定型などがある。これらも、SelicやIPCAが下がればリターンも落ちるし、固定型の場合は利率がインフレ率を下回るリスクもある。
元金割れのリスクはあるが、高いリターンを狙う投資には「株式」がある。地元紙はイタウ・ウニバンコ社投資担当のビクトル・ヴィエッチ氏による「(既にSelicが低かった)18年末からは顧客に株式の購入も勧めている」との言葉や、投資アドバイザー、ファビオ・コロンボ氏の「株式市場にはまだ有望な株があるが、株価の上がり下がりのプレッシャーに弱い人もいる。余裕のある資金でやること」との助言などを紹介した。
また、前述のFP、ロイオラ氏は、仲介会社がとる手数料にも注意するよう呼びかけている。手数料は投資形態や投資額、運用期間で違い、同じ国債や株を買っても仲介会社ごとに違う場合もある。それらをよく比較検討することが必要だ。