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サンパウロ州=帝王切開で生まれた娘に父が歌う子守唄=急死した母親が結婚式用に選んだ曲で

ソフィアちゃんに歌を聞かせるゴンサウヴェス氏(19日付G1サイトの記事の一部)

 19日朝、生まれたばかりの娘に、父親で軍警のフラヴィオ・ゴンサウヴェス氏(31)が歌を歌って聞かせているビデオが流れた。
 ゴンサウヴェス氏の歌を聞いているのは、14日に帝王切開で生まれたばかりのソフィアちゃんだ。ソフィアちゃんの体重はわずか1キロ。身長も34センチしかない。
 ソフィアちゃんの母親は、14日夜、サンパウロ市北部の教会で結婚式を挙げるはずだった看護婦のジェッシカ・ゲデス氏(30)だ。ゲデス氏は妊娠6カ月だったが、式場に向かう途中で具合が悪くなり、教会の入り口で彼女を迎えたゴンサウヴェス氏の手で、産婦人科病院に運ばれた。
 病院では胎児を救うための帝王切開が行われ、ソフィアちゃんが誕生したが、ゲデス氏は脳死状態となったため、家族が臓器提供を決意。ゲデス氏の葬儀はピニェイロス墓地で行われ、17日に埋葬された。
 ゴンサウヴェス氏が19日に掲載したビデオで歌っていた曲は、花嫁のゲデス氏が結婚式用にと考えて選んだ曲だ。

花嫁衣裳のゲデス氏と支援を呼びかけた文章(17日付G1サイトの記事の一部)

 ゴンサウヴェス氏はビデオと共に、ゲデス氏と並んで撮った写真をインターネットに掲載。「僕達の歩みはまるで映画のようだった。君は映画館に入ると、感動したり同情したりして涙を流し、その後で『でも、あれはドラマだから』と自分を慰めていたよね。でも、僕にとって、今回の出来事は現実なんだ。胸が潰れる思いだけれど、これまでの全てを感謝している」と書き込んだ。
 病院側はゴンサウヴェス氏とソフィアちゃんに最善のケアを提供する意向だが、妊娠6カ月で生まれたソフィアちゃんは最低2カ月間、入院する必要がある。
 ゴンサウヴェス氏は保健プランなどがなく、緊急手術の費用やソフィアちゃんの入院費なども賄えない。これを知った友人達がインターネットで支援を呼びかけたところ、19日朝までに、目標額の倍以上の21万9千レアルが集まったという。(17、19日付G1サイトより)